記事のポイント
・株式会社鴻池組(以下、鴻池組)と東亞合成株式会社(以下、東亞合成)は、京都大学大学院地球環境学堂の勝見武教授の技術指導のもと、地盤の液状化を防止する薬液「CXP」を共同開発した。
・この「CXP」を用いた薬液注入工法「CXPグラウト工法」による液状化対策工事を行ったところ、既設構造物直下のアルカリ性地盤への良好な適用性が確認されたという。
CXPグラウト工法で既設構造物直下のアルカリ性地盤への良好な適用性を確認
鴻池組と東亞合成は、勝見武教授(京都大学大学院地球環境学部)の技術指導で共同開発した薬液「CXP」と、それを用いた薬液注入工法である「CXPグラウト工法」による液状化対策工事を行い、既設構造物直下のアルカリ性地盤への良好な適用性を確認したという。
出典:鴻池組
CXPグラウト工法とは、主剤のアクリル酸マグネシウムにポリ塩化アルミニウムや添加剤を混合・添加した薬品である「CXP」を砂質地盤に浸透注入することで、地盤を固結改良して液状化を防止する薬液注入工法である。
出典:鴻池組
注入後に重合して生成したゲルには加水分解等の分解反応が発生しないために、改良土の長期耐久性が確保される。また、CXPの大きな特徴とされているのが、既存の水ガラス系薬液では適用が困難だったpH 10程度以上のアルカリ性地盤においても、液状化対策として必要な地盤改良強度、および長期に渡る耐久性を確保できる。水生生物に影響を及ぼさず、その改良土は土壌汚染対策法の指定基準に適合することが確認されている。
既設タンク液状化対策工事
鴻池組はこれまでに実施したフィールド試験での知見を活かし、名古屋市内の化学工場内において危険物屋外タンク(Φ3.5m)の液状化対策工事を実施した。
タンク(直接基礎)直下の改良対象土層(GL-1.45m~-4.65m)は、対象土層のpHが10.3とアルカリ性を示すシルト混じりの砂質上から成る埋土層で、N値は5~9、細粒部含有率は10~24%であり、地震時に液状化する可能性が高いと判定された。
施工方法の選定にあたっては、当該タンクの併用を継続しつつ施工する必要から、防油堤外周部からタンク直下への薬液注入によって地盤改良ができる工法の中でも、アルカリ性地盤に対応可能なCXPグラウト工法が採用された。
改良体は直径φ2.5m、中心間隔2.0mで8球の配置となっている。また、CXPの濃度は配合試験結果に基づき6%とし、ゲルタイムは50~60分程度に設定された。施工は、タンクの基礎部や防油堤に変状が発生していないことを確認しながら、ダブルパッカを用いて動的注入方法により行っている。所定量全量の注入完了後は、タンク直下の改良土をサンプリングし、改良土の一軸圧縮強さが設計時の目標強度(原位置強度で46.7kN/m2)を十分に確保したことを確認したという。
出典:鴻池組
CXPグラウト工法による既設構造物直下地盤への適用性が明らかになるとともに、pH 10を超えるアルカリ性地盤も十分に改良できることが実地盤において確認された。鴻池組では、今後も工事実績を重ねて液状化被害を防止することで、地域の安心・安全や国土強靭化に貢献していくとのことだ。
□株式会社鴻池組
CXPグラウト工法による液状化対策工事を実施- 既設構造物直下のアルカリ性地盤への良好な適用性を確認
リリース記事:https://www.konoike.co.jp/news/2021/202108232837.html