記事のポイント
・大成建設株式会社（以下、大成建設）は、株式会社IIU（以下、IIU）と共同で、建設機械の操縦席に設置したカメラ画像のデータを基に、建機の災害を未然に防ぐ見守りシステム「T-iSafety Operator」を開発したと発表した。
・このシステムは、カメラ画像を基にAIがオペレータの不安全行動を自動検知し警報を発信するものとなっており、オペレータの不安全行動に着目したシステムの開発は業界でも初となる。
AIを用いて操作者の不安全行動を自動検知。建機災害を防止する
大成建設は、IIUと共同で建設機械の操縦席に設置したカメラの画像データを基に、AIが建設機械オペレータの不安全行動を自動検知し、警報を発信して建機災害を未然に防ぐ見守りシステムである「T-iSafety Operator」を開発した。建機オペレータの不安全行動に着目したシステムは業界初という。
近年、建設工事現場で発生する建設機械に関連する災害は減少傾向にあるが、依然として全災害の1～2割を占めている。このような災害に対し、建設機械の周囲にいる従業員の行動に着目した安全システムは様々なタイプのものが開発・導入されているが、建機のオペレータの行動に着目した建機災害を防止するシステムはこれまでには開発されていなかったという。
建機災害の発生要因を見ていくと、建機オペレータの確認行為の際に操縦席から身を乗り出すという不安全行動や、建機のロックレバーの操作ミスなどがあり、オペレータ自身の行動に起因するものが数多く見受けられるそうだ。
そこで、大成建設とIIUは、AIを活用し正確かつ迅速に建機オペレータの行動を見守り、不安全行動を自動検知して災害を未然に防止するシステムである「T-iSafety Operator」に開発に至った。システムは音声や警告灯が点検する警報装置を連動させることができ、不安全行動に対して建機オペレータに直接注意を促す。その結果、自らの安全確保や作業員との接触など建機災害を防止することが可能となる。
システム特徴
１．AIを用いて建機オペレータの不安全行動を自動検知し注意喚起
操縦席に設置したカメラで操作状況を撮影、AIの物体認識で通常操作時の建機オペレータの骨格を検知する。それによって、操作中に建機オペレータが窓の外などに身を乗り出すなどの不安全行動をとると警報を発信し注意を促すようになっている。また、建機オペレータの安全装備などの着衣やシートベルトの装着状況、建機のドア開閉状態、ロックレバーの操作忘れ等を自動で検知することができる。
出典：大成建設
出典：大成建設
２．不安全行動をデータベース化し、再発防止や安全教育などに活用可能
警報の発信履歴はサーバー内に蓄積・自動統計処理されることで、不安全行動の頻度や発生推移がデータベース化。可視化したデータを関係者へ周知することで再発防止や安全教育に活用することができる。また、事故などのトラブル発生時には撮影・記録された映像を基に原因を検証することができる。
３．既存機材を活用し、高い汎用性を保持
システムは、既存のカメラ、警報装置(スピーカー、パトライト)、制御用の小型PCで構成されており、全てが小型軽量であるため、様々な建設機械への設置・取り外し・後付けでの対応を容易に行えるなど高い汎用性を有している。
今後、大成建設では建機オペレータ自身の行動を常に見守り、安全行動を補助する機能を随時追加していき、建設現場での建機災害の防止に貢献していくという。
□大成建設株式会社
業界初 建設機械オペレータの見守りシステム「T-iSafety Operator」を開発
リリース記事：https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210816_8411.html
