記事のポイント
・メトロウェザー株式会社(以下、メトロウェザー)と株式会社ACSL(以下、ACSL)は、メトロウェザーの風況観測データをACSLのドローン運航制御プログラムに組みこむことに成功したと発表。
・ACSLの提供するドローン管制用GCS(Ground Control Station)に、メトロウェザーの提供する風況データをリアルタイムにオーバーレイさせることができる。
ドローン運航における風情報の活用において画期的な一歩
メトロウェザーとACSLは、2021年6月にメトロウェザーの風況観測データをACSLのドローン運航制御プログラムに組み込むことに成功した。
メトロウェザーは、超高分解能ドップラー・ライダー※ を用いた「高精度風況観測」を提供する京都大学発のベンチャー企業で、高精細な風況データのリアルタイム観測を実現するとともに、3次元風況データの配信のためのAPIを開発している。
[aside type=”normal”]※ドップラー・ライダー
大気中にレーザー光を発射し、大気中のエアロゾルからの反射光を受信することで風速や風向を観測することができる大気計測装置である。[/aside]
この度のメトロウェザーとACSLの連携によって、ACSLが提供する管制用GCS(Ground Control Station)にメトロウェザーの提供する風況データをリアルタイムにオーバーレイさせることが可能となった。これにより、ドローン運航システムにおいてドローン運行管理者や操縦者が実際の風況情報に基づいた運航を行うことが可能になったという。
出典:ACSL
ドローン運航における風況把握の必要性と課題
ドローン技術の急速な発展に伴って、インフラ点検やメンテナンス、物流等の様々な分野でドローンの活用が注目されている一方で、ドローンが飛行する地上付近及び上空の「風」は乱れが多く、大小様々な乱流が形成されており、ドローンにとってその乱流は大敵。
そのためドローンの安全かつ安定的な運航のためには、ドローンの運航ルート上の正確な「風」のデータがほぼリアルタイムで活用可能であることが必要だと考えられる。また、「風」の情報は天気予報などでも耳にする身近なものだが、これまでの情報は地表近辺のデータに限られており、上空の風のデータは測定することができなかった。
メトロウェザーのソリューション
これら課題に対する根本的なソリューションが、メトロウェザーの小型高性能ドップラー・ライダーによる高精細風況データのリアルタイム観測である。
京都大学発ベンチャーのメトロウェザーは、京都大学生存圏研究所の長年の研究で培ったリモート・センシング技術と信号処理技術により、地上付近及び上空の空気の流れをリアルタイムに可視化する「ドップラー・ライダー」を開発。
2021年3月には機体の大幅な小型化を実現している。更に、メトロウェザーはドップラー・ライダーにより観測した風況データを配信するためのAPIを開発し、3次元風況データのリアルタイム配信の実用化に成功している。
ACSLのドローン管制用GCS(Ground Control Station)
ASCLの国産ドローンに対応した管制用GCS「PF-Station」は、ACSLが独自に開発した地上局用ソフト。飛行ルート作成、飛行ルートの3D地図での確認、飛行中のモニタリング、飛行後の解析などが可能となっている。
協業の成果
両社が連携することにより、メトロウェザーが配信する上空の風況データ、ACSLが提供するドローン管制用GCSにリアルタイムでオーバーレイさせることができたという。
この技術が製品化されることで、ドローン運航管理者や操縦者が、実際の風況情報に基づき運航を行うことが可能となる。これから本格化するドローンのレベル4運行での風況情報の活用が期待される。
出典:ACSL
□株式会社ACSL
メトロウェザーとACSL、「風」情報のドローン運航システムへの組み込みを実現 ~ドローン運航における「風」情報の活用において画期的な一歩~
リリース記事:https://www.acsl.co.jp/news-release/press-release/1917/