商船三井とACSL、運搬船船倉内でのドローン自律飛行点検に成功

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記事のポイント

・株式会社商船三井(以下、商船三井)と株式会社自律制御システム研究所(以下、ACSL)が、商船三井の運航する石炭運搬船の船倉内のドローン自律飛行点検の実証実験に成功した。

・石炭を入れるための船倉は高さが底面から20mに及ぶ船もあり、このような人がアクセスするには困難な高所での点検はひとつの課題であり、またドローン点検に関してもGNSS電波の届かない場所であることから、手動操縦の必要があることも課題となっていた。

暗所かつGNSS電波が届かない場所でのLiDARを活用した自律飛行

商船三井とACSLは、2021年5月に商船三井が運航する石炭運搬船の船倉内の点検を、ドローンの自律飛行点検で行う実証実験を行い、実証に成功したと発表した。

石炭運搬船には、石炭を入れるための広い船倉(ホールドと呼ぶ)がある。ホールドの高さは高いものでは底面から20mにも及ぶ船もあり、人がアクセス困難な高所の点検は課題となっていた。その解決方法として、ドローンを用いた点検手段も挙げられるが、多くの産業用ドローンでは、GNSS(全地球測位システム)の信号を受信し位置情報を把握している。

しかしホールド内はGNSS電波が届かない環境であり、自己位置の認識ができないことから、熟練パイロットによる船上での手動操作が必要になることも課題となっていたという。


出典:商船三井「ACSL-PF2」

この度行われた実証実験では、ホールドが閉鎖された状態での暗所かつGNSS電波の届かない場所を、レーザー照射により自己位置推定を行えるLiDAR SLAM(ライダースラム)技術を実装したACSLの国産ドローン「ACSL-PF2」を用いて自律飛行させることに成功したとのこと。


出典:商船三井「実験使用機体(赤丸はLiDARセンサー)」

また、ドローンとパイロットのモニタリング端末を光ファイバーケーブルにより有線接続することで、電波干渉が生じやすく、無線通信に適さない環境のホールド内でも安全な自律飛行を可能としている。

更に従来のホールド内点検に使用されていたドローンよりも高解像度のカメラを搭載することで、暗所でも精細な点検画像を撮影することに成功したとのこと。


出典:商船三井「ホールド内、自己位置推定処理の様子」

今後、ドローンの自律飛行を生かし乗組員でも容易に運用可能なドローンの開発や、様々な種類の船のホールドやバランスタンクなどの閉所・暗所区画を含む環境での飛行点検の開発に取り組んでいく。


□株式会社商船三井
商船三井とACSL、ドローンによる暗所で電波が届かない船倉内の自律飛行点検に成功
リリース記事:https://www.mol.co.jp/pr/2021/21048.html

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