ドローンの赤外線画像からAIで外壁タイルの浮きを自動判定するシステム

sugitec

記事のポイント

・株式会社竹中工務店(以下、竹中工務店)は、AI技術を活用した高層建物等の外壁調査システム「スマートタイルセイバー®」を開発・実用化した。

・このスマートタイルセイバーは、ドローンが撮影した赤外線画像からAIが建物外壁タイルの浮きを自動判定するシステム。2021年3月に地上88mの高層マンション「アトモスももち」にて初適用した。

スマートタイルセイバーの実用化。実証実験を経て高層マンション外壁調査にて初適用

竹中工務店は、ドローンで撮影した赤外線画像からAIが建物外壁のタイル浮きを自動判定するシステム「スマートタイルセイバー®」を開発、実用化した。システムはこれまでに実証を重ね、2021年3月に地上88mの外壁タイル貼り高層マンションの「アトモスももち」において、超高層建物の外壁調査に初適用された。

建築物の外壁調査については建築基準法の第12条により、以下の対象は全面打診等による調査が求められている。

・特定建築物定期調査によって異常が認められたもの
・竣工後に10年を経過するもの
・外壁改修後に10年を経過するもの
・全面打診等の実施後に10年を経過するもの

外壁調査の方法としては、打診調査の他に赤外線調査での調査も認められているが、高層建物等の従来の赤外線カメラでは撮影が難しい対象については、近年ではドローンによる赤外線撮影が活用されている。

高層建物等においては外壁タイルの赤外線撮影をドローンで行うことで、打診等人の手による外壁調査の手間がなくなるために、仮設足場の設置にかかるコストを削減できる他、人による高所作業も不要となる。


出典:竹中工務店

スマートタイルセイバーでは、撮影取得した赤外線画像をもとに、AIがPC上でタイル浮きを1枚ごとに自動判定し熱分布データとして抽出する。これによりどの個所のタイルに浮きが発生しているのかが誰にでも一目で分かるため、デジタル技術を活かした人の感覚に頼らない高精度で高品質な調査、省人化、調査期間の短縮を実現することができる。


出典:竹中工務店

スマートタイルセイバーの特長

・ドローンにより外壁の赤外線映像を撮影することで、人が直接外壁を調査する必要がなくなるため、外壁調査にかかるコストが削減できる。

・赤外線画像から得られるタイル目地とタイル面の温度差によってタイル割を決定。画像をつなぎ合わせるだけで建物全体のタイル割図面を作成することが可能である。

・タイルの浮き状況を赤外線画像の温度差を用いてAIが自動判定することで、誰が判定しても同じ結果が出るうえ省人化にもつながる。

・判定結果をCADデータで出力。CADデータと赤外線画像を重ねることで修復すべきタイルをピンポイントで特定することが可能。

・CSVデータでの出力でタイル総数が分かるため、タイルの浮き率を明確に判定できる。

今後、竹中工務店では安全かつ低コストで効率性の高いこのシステムをタイル貼り高層建物の外壁調査を中心に適用していく。またDXにより、建設業界における生産性・魅力向上を目指すとともに、建物の長寿命化によるSDGsの達成によって社会に貢献していくとのことだ。


□株式会社竹中工務店
ドローン撮影の赤外線画像から、AIが建物の外壁タイルの浮きを自動判定するシステム「スマートタイルセイバーR」を開発し実用化
リリース記事:https://www.takenaka.co.jp/news/2021/06/02/

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