記事のポイント
・三井住友建設株式会社(以下、三井住友建設)は、自然言語AIエンジンを使用した「安全注意喚起システム」を開発したと発表した。
・このシステムはiPadの画面で基本項目を入力。実施予定作業や工事において、過去に同社で発生した5,000件余りの災害事例をクラウドのデータベースで検索し、AI技術によりその類似性のスコアリングから起こる可能性のある災害事例が抽出されるというものだ。
過去の災害データから事例を抽出し、危険予知活動に活用
三井住友建設の開発した安全注意喚起システムは、株式会社FRONTEO社の自然言語AIエンジン「KIBIT®」が使用されている。KIBIT®とは人工知能関連技術のLandscapingと行動情報科学を組み合わせ、FRONTEO社が独自開発した日本発の人工知能エンジンである。
システムではiPadから基本項目を入力することで、実施予定作業・工事において、過去に発生した災害事例をAIがスコアリングし抽出するものとなっている。三井住友建設では、作業所で朝礼時に行う危険予知のKY活動で導入を開始したとのこと。
出典:三井住友建設
システムの特徴
1.AI技術による災害事例の抽出
一般的な検索システムは言語が一致することで抽出される仕組みとなっているが、AIを活用することで言葉が一致しないと事例が抽出されないということがなく、AIが状況の類似性をスコアリングし、起こりうる災害を複数抽出するという。また、新たな事例データを追加する際にもキーワード設定が不要であり、災害報告書の文章をそのままデータとして使用可能だ。
これはAIエンジンのKIBITが寄与しており、テキスト解析においてキーワードだけに頼らない、専門家や勘の優れた人の備える暗黙知の再現や、従来のテキストマイニングや検索技術と一線を画した機械学習アルゴリズムを用いることで、小さな計算資源と少量の教師データによる短時間での解析を可能としている。
2.作業内容に即した災害事例抽出
システムはiPadで利用できることで、各作業を担当する少人数グループごとに行うKY活動で当日予定する作業に即した災害事例の確認が可能だ。タブレットであることで身軽に扱うことができる。また、作業内容の変更があった場合でもその場で検索条件を変えるだけでその作業に即した事例の確認ができる。
出典:三井住友建設
3.KY活動のマンネリ化を防止
事例の検索条件の入力は簡易なメニューのほかに、自然言語による条件追加も可能となっており、幅広い気づきを促進することができる。また、日々同じ作業を継続するような場合に関しては、一度使用した事例は一定期間表示させない機能があり、毎日違う事例が表示できるようになっている。
三井住友建設では、今後の展開として順次この安全注意喚起システムの効果や改善点のフィードバックを行いつつ、今年度中には全現場の展開を図っていくという。また、災害発生の要因はそれぞれの技能者の置かれた条件・環境によって異なることから、今後よりタイムリーでパーソナルな条件に対応する注意喚起システムの開発を計画しているとのことだ。
□三井住友建設株式会社
AI(人工知能)を活用した安全注意喚起システムの開発と導入の開始
リリース記事:https://www.smcon.co.jp/topics/2021/05311300/
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