記事のポイント
・Cellid株式会社（以下、Cellid）は、株式会社大林組（以下、大林組）の建設現場にて、独自AR技術の「Cellid SLAM」を用い、作業員の3次元位置情報の取得に成功した。
・Cellid SLAMの空間認識アルゴリズムは既に現場導入されている汎用単眼カメラの映像のみを入力情報とし、非GNSS環境をはじめ大規模な建設現場において、GNSSやビーコンを上回る測位精度を発揮することが確認されたという。
BIM・CIMなどデジタルツインへの位置情報の統合へ
このAR技術「Cellid SLAM」の実証実験で行われた主な検証内容は2点あり、屋内外の大規模かつ複雑な構造をもつ建設現場において、汎用単眼カメラを装着して巡視する職員の移動経路を3次元の動線として把握できるか、という点が1点。
後1点は、BIMやCIMを含むデジタルツイン・プラットフォームとSLAMで取得した3次元位置情報を統合することで、安全管理や労務管理のためのツールとして発展する可能性があるのかという検証のためである。
出典：Cellid
レーザーや赤外線を活用するSLAM技術は専用のセンサーが必要であることから、デバイス自体の費用が高額であり、かつセンサーの設置スペースや電源の供給に課題があったという。そのためにウエアラブル・カメラや屋内用ドローンといった小型カメラと組み合わせた用途への提供は限定されてきた。Cellid SLAMではその問題を解決する汎用単眼カメラのみで動作する汎用性の高い技術となっている。
また、センサーの代わりとして画像データを活用する研究も進められているが、膨大な計算負荷に加え、現場での活用に耐えるだけの精度を確保することが難しく実装に至っていなかったそうだ。しかし、膨大な量の計算の高速処理、自己位置推定精度をCellid SLAMが可能にしている。
現在の自己位置推定技術に関しての一般的課題とCellid SLAMでの解決策は以下の図のようになる。
出典：PRTIMES
今後のCellidの展望として、BIM/CIMから構築されたデジタルツイン上にウエアラブルカメラを装着した作業員などの位置情報を反映し情報統合を進めることと、また同一現場で同時に複数の作業員がウエアラブルカメラを装着し撮影することで、位置情報だけでなく、大規模な現場の点群データをスピーディに収集することをあげている。この測位技術とAR技術の組み合わせで、AR付箋などの早期実現も期待されているという。
出典：PRTIMES
□Cellid株式会社
AR技術を用いた大規模建設現場での3次元位置情報の取得に成功
BIM/CIMなどデジタルツインへの位置情報の統合へ道筋
リリース記事（PRTIMES）：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000030718.html
□PRTIMES：https://prtimes.jp/
