記事のポイント
・株式会社竹中工務店(以下、竹中工務店)は、スマートビルを実現するための新機能を有したデータ・プラットフォームの「ビルコミュニケーションシステム®(以下、ビルコミ®)」を開発し、「コモングラウンド・リビングラボ(以下、CGLL)」で実証実験を開始した。
・このビルコミ®の導入により、ビッグデータの扱いやAIの適用など、多様な要求を持つスマートビルのユースケースに対応することができるという。
竹中工務店、スマートビル推進データ・プラットフォームの新機能を開発
竹中工務店の開発したビルコミ®は、2019年度の国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業である「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」によって実施されたものとなる。
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、クラウドやIoTなどの活用で、高度な建物環境の制御や運用管理を可能にするスマートビルの実現が求められている。
竹中工務店では前述のビルコミを用いて、このスマートビル実現のための研究を推進してきている。この度、従来ビルコミが備えていたリアルタイムのモニタリングや遠隔制御機能に加え、ビッグデータへの対応、BIMで作成された属性データとの連携、インターネットの標準仕様に準拠したAPI提供のための機能を開発した。
これによって、多様なユースケースへの対応を可能とするとともに、ビルコミを用いたサービス開発にかかるコストを低減できるという。また、ウェブ、ゲーム、ロボットの開発会社など、多くの開発パートナーの参画が容易となるため、スマートビルのサービス開発の可能性を更に拡大することができるという。
出典:竹中工務店
CGLL(コモングラウンド・リビングラボ)では、プラットフォームの一部としてビルコミを適用し、異業種コラボレーションのための実証実験が行われた。CGLLは、照明や空調システムなどの設備に加え、施設内のモニタリングが可能なカメラやLiDARなど多くのセンサーが備えられた空間となっている。これはコモングラウンドの目的によって、物理空間と仮想空間がリアルタイムにシームレスにつながり、人とロボットが共通認識を持つことが可能な空間を創り出すことを目指しているものだ。
竹中工務店ではビルコミを用いて、CGLLにおける設備やIoTなどのデータ取得と保存、ゲームエンジンを用いて構築したデジタルツインアプリケーションを介した設備の遠隔設備操作やロボット連携などの実証を担う。
ビルコミのスマートビルの構成要素
ビルコミを用いたスマートビルは以下の3要素から構成されている。尚、ゲートウェイやAPI接続のためのサンプル・ソースコードは開発パートナーに提供が開始されているそうで、容易にビルコミを利用した開発を始めることができるとのこと。
1.ゲートウェイ
建物内で発生した設備システムやIoTデータをビルコミのデータ受信部に送信、またはビルコミからの指示を受けて建物内のサブシステムに伝達する。
2.データプラットフォーム
データにアクセスするためのAPIを提供しており、WoT(IoT機器の相互運用のための接続仕様)をはじめとするオープンな技術仕様に基づいて設計と実装を行っている。
3.アプリケーション
スマートビルの機能を提供するソフトウェア。ゲームエンジンを用いたデジタルツインや、AIによる設備制御などがあり、開発パートナーにより提供される。
出典:竹中工務店
竹中工務店では、今後、ビルコミの社会適用を進めることで、省エネと快適性を両立させる高度な建物環境制御の実現、ZEBや複数棟制御をはじめとする高度な電力デマンド制御等の実現や、AI・ロボットなど多様なシステムとの連携による建物管理の高度化と省人化に取り組んでいく。
まず多くのパートナーとこれらのサービスを共同開発し、ニーズの変化に応じたメニューの拡大を進めていくという。また平行してユーザーへの提供体制の整備を進め、2021年度中にサービス提供を開始するとのことだ。
□株式会社竹中工務店
ビッグデータ、AIによりスマートビルを推進するデータ・プラットフォームの新機能を開発
~「コモングラウンド・リビングラボ」にて適用し、実証実験を開始~
リリース記事:https://www.takenaka.co.jp/news/2021/05/02/