東京電力PGの送電線点検にドローン自動飛行システムが採用

sugitec

記事のポイント

・東京電力ホールディングス株式会社(以下、東京電力HD)、ブルーイノベーション株式会社(以下、ブルーイノベーション)、株式会社テプコシステムズ(以下、テプコシステムズ)の3社は、送電線点検用ドローン自動飛行システムを開発し、東京電力パワーグリッド株式会社(東京電力PG)の保有する送電線の点検業務に導入する。

・この送電線点検用ドローン自動飛行システムは、ブルーイノベーションが開発したBlue Earth Platformをベースに、テプコシステムズと東京電力HDの3社で共同開発されている。

送電線に沿ってドローンが自動飛行・撮影を行う送電線点検用ドローン自動飛行システム

従来の送電線の点検作業において、東京電力PGでは主に高倍率のスコープやヘリコプターなどを用いた目視による点検を行っていた。今回採用される送電線点検用ドローン自動飛行システムでは、ドローンに対象物検知のセンサーを搭載し、そのセンサーで送電線を検知し自動飛行しながら最適な画角で送電線の腐食や劣化などの異常をカメラで撮影することで、点検作業の大幅な効率化とコスト低減を可能にする。

尚、この対象物検知センサーに関しては一般的に販売されているドローンに搭載が可能だという。

東京電力PGが保有している送電線は21,095km(全国では101,477km)あるとのことで、その点検作業は主に高倍率スコープやヘリコプターなどでの目視で行われていた。

この目視点検作業には膨大な作業時間と作業員の高い技能によって支えられていたが、近年の少子高齢化に伴う将来的な作業員の不足や設備の高経年化による点検数の増加への対応が課題とされていた。そのような状況の中、これまでも点検作業の効率化やコスト削減にドローンの自動飛行による点検が検討されてきたそうだが、実用化には技術的な課題を抱えていたという。

抱えていた技術的課題
課題:ドローンが送電線に近づくと、電線から生じる磁界の影響によって正しい方角を認識できなくなり、機体制御が不安定になる。
求められていた技術:送電線とドローンの距離を常に一定に保って自動飛行する技術。

課題:電流値、気温、風などの影響で電線の形状が変化するため、電線の形状を予め予測し、電線に沿った飛行ルートを事前設定することが難しい。
求められていた技術:飛行ルートをリアルタイムで自動設定・調整できる技術。

これらの技術的課題を解決すべく、送電線の位置を検知する対象物検知センサー技術、ドローンと送電線との距離を一定に保ち飛行できる制御技術、送電線をブレなく撮影するための振動制御技術などを共同開発に至った。加えて現場作業員が使いやすいように送電線撮影に特化したアプリケーションも開発したという。


出典:ブルーイノベーション

飛行環境の変化に左右されずに送電線に沿って飛行可能

システムに搭載されている対象物検知センサーは、画像解析による送電線の検知と異なり、逆光や影、類似する構造物の影響を受けず、正しく送電線を検知できる。鉄塔間距離365mの実証実験においても画角を外さずに送電線と平行に飛行・撮影できることが実証されているそうだ。


出典:ブルーイノベーション

ワンクリックでの簡単操作
専用アプリケーション上でワンクリックでドローンの離発着・送電線撮影を自動的に行う。


出典:ブルーイノベーション

撮影映像をその場で確認可能
自動飛行のため作業員はドローンを操縦する必要がないため、ドローンからリアルタイムに送られてくる送電線の映像確認に集中できる。気になる箇所があった場合、その場で一時停止させカメラをズームし送電線の状況を詳細に確認するという運用も可能となる。


出典:ブルーイノベーション

尚、この技術による東京電力PGの保有する送電線の点検業務は、2021年6月より導入が開始されるとのことだ。


□ブルーイノベーション株式会社
送電線に沿ってドローンが自動飛行・撮影する 「送電線点検用ドローン自動飛行システム」の開発・導入について
リリース記事:https://www.blue-i.co.jp/news/4530/

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