記事のポイント
・株式会社日立システムズ(以下、日立システムズ)は、インフラ施設や機械設備を管理する団体向けとして、点検や補修計画策定支援を目的とした「CYDEEN劣化要因分析支援サービス」の提供を開始した。
・「CYDEEN劣化要因分析支援サービス」は、ユーザーがすでに蓄積した点検や補修業務の維持管理データを基に、AIで分析することで施設や設備の劣化状態を見える化するものとなっている。
あらゆる施設・設備の劣化状態を見える化。点検・補修計画作業のDX推進を支援
この度、日立システムズが道路等のインフラ施設、機械設備などの各種設備を管理する団体向けに、点検・補修計画の策定支援を目的とする「CYDEEN 劣化要因分析支援サービス」を3月3日より販売開始した。(「CYDEEN(サイディーン)」とは、公共事業のライフサイクルをトータルサポートするソリューションの名称)
このサービスは、ユーザーがこれまでに蓄積している点検や補修業務の維持管理データを基にし、AIを活用した日立システムズ独自の手法で分析することで、対象施設・設備の劣化状態を見える化するものである。これによって、点検や補修箇所の見落とし防止を図り、優先順位付けなどを効率化できる。
これまで車載カメラやドローンなどの活用が困難であった施設・設備であっても、分析のために新たな計測機器を導入する必要がなくなる他、従来からの運用手順を変更する必要もないため、一般経費と運用コストの両方を抑えることができるという。
出典:日立システムズ
昨今の国交省からのi-Construction推進により、建設業界ではICTの高度利用が普及し始めている一方で社会インフラの老朽化も進んでおり、将来的な技能労働者の大幅不足も予想されることから、ICT活用による社会インフラの維持管理業務の効率化や熟練技術者のノウハウ継承が急務となっている。
これを受け、一部の維持管理業務では車載カメラやドローンなどを用いた点検での効率化が進められているが、施設や設備によっては車両の通行ができなかったり、ドローンが飛行できない環境であることで、これらICTの活用が難しいという課題があった。また、社会インフラの個々の施設・設備において異常状態を示すデータが少ないことから、ビッグデータを用いたAI分析で損傷や健全度の予測を行うことは困難だったという。
このような背景から、これまでユーザーが蓄積した維持管理のデータを基に、AIによって分析結果を見える化できる「CYDEEN劣化要因分析支援サービス」の開発・提供に至っている。
出典:日立システムズ
このサービスは、ユーザーの保持する維持管理データのみを利用し、AIによる分析を日立システムズのクラウド基盤上で実施し、対象となる社会インフラ施設・設備の劣化状態をグラフィカルに表示可能だ。これによってユーザーは点検・補修箇所の見落としを防止することができ、優先順位付けなどを判断する時間を短縮できるようになる。これまでICTの活用が難しかった設備でも、既存の維持管理データのみでこのサービスを利用することが可能となる。
なお、既存の維持管理データが有れば、河川、上下水道、建物など分野を問わず分析することが可能で、例えば製造業の機械設備や石油、ガスなどのプラント設備機器、橋梁、トンネル、堤防、ダムなどの土木構造物、建築物に付随する設備といった対象も分析することができる。
出典:日立システムズ
今後、日立システムズでは「CYDEEN維持管理システム」を核とし、関連する「CYDEENフィールド作業支援サービス」や「CYDEENカメラ利用型メーター自動読み取りサービス」さらに「ドローン運用統合管理サービス」などと連携し、ユーザーのインフラ施設・設備における点検・補修計画作業のDX推進や効率化を幅広く支援していく考えだ。
□株式会社日立システムズ
既存の点検データをAIで分析し、社会インフラ施設・設備の損傷状況や健全度が予測可能な「CYDEEN劣化要因分析支援サービス」を販売開始
リリース記事:https://www.hitachi-systems.com/news/2021/20210303.html