記事のポイント
・北海道電力株式会社（以下、北海道電力）と、株式会社自律制御システム研究所（以下、ACSL）は、非GPS環境である水力発電所の調圧水槽内の自律飛行を可能とする点検ドローンを開発した。
・調圧水槽内にある小口径の管（ライザー管）等の構造物を目印にし、自機との位置関係を計算しながら飛行することで、非GPS環境下での飛行を実現しているという。
水力発電所の調圧水槽点検用「非GPS対応自律飛行ドローン」
通常の調圧水槽内壁の点検では、調圧水槽の上部から定期的に実施される目視点検にて経年劣化の有無を確認しているという。より詳細な点検を必要とする場合は、調圧水槽の上部から作業員がロープ工法にて直接ひび割れなどの状況を確認する必要があり、安全面や作業効率面において課題があった。
出典：ACSL（参考資料より）
北海道電力ではこの課題解決のために、近年、設備点検などで実用化が進むドローンに着目。また、現在研究開発分野で連携関係にあるという北陸電力株式会社、中国電力株式会社、株式会社四国総合研究所、沖縄電力株式会社らの協力を得て、ACSLとともに調圧水槽内点検に活用できるドローンの開発を進めてきた。
出典：ACSL（参考資料より）
GPSが届かない調圧水槽内で安定的にドローンを飛行させる技術として開発されたのが、ドローン自らが調圧水槽内にあるライザー管などの構造物を目印にして位置関係を計算しながら飛行ができる技術だ（特許出願中）。また、ドローン機体は国内で開発・製造されているために情報セキュリティや各種サポート体制は万全となっている。
出典：ACSL（参考資料より）
ACSLでは、国産産業用ドローンの開発について、用途特化型機体の開発を戦略の一つとして掲げている。今回そのひとつを応用することで、調圧水槽内部の点検ドローンの開発を行った。両社では今後もドローンの積極的な活用に向けて、非GPS環境の屋内設備などの点検についても自律飛行可能なドローンの開発を検討していくという。
□北海道電力株式会社
水力発電所の調圧水槽点検用「非GPS対応自律飛行ドローン」の開発について
リリース記事：https://www.hepco.co.jp/info/2020/1251171_1844.html
□株式会社自律制御システム研究所
水力発電所の調圧水槽点検用「非ＧＰＳ対応自律飛行ドローン」の開発について
リリース記事：https://www.acsl.co.jp/news-release/press-release/1737/
