記事のポイント
・大成建設株式会社(以下、大成建設)が、自動運転を行う建設機械の協調運転を制御するシステム「T-iCraft®」を開発。実際の造成現場にて4機種の協調運転性能の実証が行われ、その実用性が確認された。
・大成建設では2013年から遠隔操作ができる建機の「T-iROBO®シリーズ」を開発しており、それらの自動運転、協調運転を実現している。今回開発の「T-iCraft®」は「T-iROBO®シリーズ」の施工現場におけるDX戦略の一翼を担う技術となる。
様々な機種や制御方式となる自動建機の協調運転を実証
大成建設は、複数の自動運転建設機械(以下、自動建機)の協調運転制御システム「T-iCraft」を開発し、造成現場において4機種の協調運転性能を実証した。この実証で、有人建機との連携や自社開発、他社開発の様々な機種・制御方式となる自動建機との協調運転の実用性が確認された。
出典:大成建設
生産性向上や労働力不足の解消が喫緊の課題となっている昨今、国交省では働き方改革として「i-Construction」を推進し、今後も予想される人手不足への対応とともに、生産性向上への取り組みを加速させている。またその中でも建設機械の自動化関連技術は、建設現場で早期確率が望まれている技術の一つでもある。
国交省では、2020年12月に「国土強靭化に関する施策のデジタル化」の中で、無人化施工技術の安全性・生産性を向上させ、2025年度までに建設機械の自動制御・走行技術の確立を掲げている。
そんな中、大成建設では2013年から自律型や遠隔操作で作業を行う建設機械の「T-iROBO®シリーズ」の開発に取り組んでおり、すでにバックホウ、クローラダンプ、振動ローラの3機種の自動運転を実現。これらを組み合わせた協調運転を行うことで、更なる生産性向上を目指してきた。この度開発された「T-iCraft」はその「T-iROBOシリーズ」の施工現場におけるDX戦略の一翼を担う技術となっている。
この度の実証では、新規開発されたブルドーザーを加えた4機種の自動建機を用いて「堀削・積込」「運搬」「敷均し」「転圧」施工を制御し、一連の協調運転を業界に先駆け検証している。
「T-iCraft」の特長は以下
1.様々な機種の自動建機の協調運転を制御
各自動建機には、GNSSと自動運転プログラムが搭載されており、設定された作業シナリオをそれぞれが自動で実行。「T-iCraft」が司令塔となり各自動建機の位置情報と作業進捗を監視しながら、建機各々の自動運転の実行および停止を指示するなど協調運転制御を行う。
出典:大成建設
2.適用可能な建設機械の自由度が高いプラットフォームを実現
「T-iCraft」は、適用可能な建設機械の自由度が高く、同社の開発建機に限らず他社の開発建機やロボット搭乗式など、あらゆる制御方式の自動建機に対し協調運転を行うことができ、協調制御プラットフォームとして確立されている。
3.有人建機との協働の可能
有人建機のオペレーターがタブレットで「T-iCraft」と通信する新たなHOG(Human Operating Guidance)システムを開発し、有人建機との協働運転が可能になる。またHOGシステムの性能については2020年3月に複数の自動建機と有人建機の協調運転について5G通信を用いて実証し、その有効性が確認されている。
今後、大成建設では「T-iCraft」を水資源機構発注の南摩ダムの本体建設工事に導入し実用する予定だ。この建設工事では施工データを蓄積し、施工エリア、運搬ルートを入力するだけで工程の最適化を図れるという機能や、デジタルツイン技術を利用したモニタリングシステムを追加・実装し、土木施工における「DX」の推進につなげていくとのことだ。
□大成建設株式会社
協調運転制御システム「T-iCraftR」を開発し、施工現場のDXを推進
リリース記事:https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210209_5072.html