デジカメ画像1枚から撮影場所と劣化箇所の大きさを認識するAI技術

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記事のポイント

・株式会社東芝が、ステレオカメラ等ではない一般のデジタルカメラで撮影した写真1枚から、その撮影場所とひび割れなどの劣化箇所の被写体の大きさを認識する「点検情報管理AI」を開発した。

・この技術は、同社がこれまでに開発している写真から撮影位置を特定する「位置認識AI」と、大きさを認識する「立体認識AI」の2つの技術を組み合わせたものとなる。

インフラ設備等の巡視や保守点検作業の自動化と働き方改革に貢献

株式会社東芝(以下、東芝)は、インフラ設備の点検作業において一般カメラで撮影した1枚の写真から、撮影場所とひび割れ等の劣化箇所の被写体の大きさを認識する「点検情報管理AI」を開発。東芝が2019年に開発した、画像から撮影位置を特定する「位置認識AI」と、ステレオカメラ並の高精度な距離計測を実現する「立体認識AI」の2つの技術を組み合わせており、GPSの届かない発電プラント施設内等の巡視・保守点検作業の効率化に寄与する。

GPS電波の届かない発電プラント等の施設内の保守点検では、カメラで現場や設備の状態を撮影することから始まる。撮影された写真は点検情報としてその位置をサイバー空間上の図面にポイントとして残すことで管理するが、この点検方法の課題としてはGPSが届かないプラント施設等の屋内においては、撮影位置の特定に手間がかかっていた。

そんな屋内での測位方法としては、無線基地局の設置や位置特定のために目印となるマーカーを設置するという手法があるが、無線基地局は導入にコストがかかり、またマーカーの設置に関しては、撮影する写真内に劣化箇所とマーカーを両方収める必要性があることから、膨大なマーカーの設置を必要とするという課題があったという。

他にも写真撮影した劣化箇所の大きさ測定にも課題があり、一般的には直接メジャーで計測する方法をとっているが、当然手の届かない場所は計測ができない他、測り忘れるというヒューマンエラーが発生する可能性もある。レーザースキャナやデプスセンサなどの非接触型の計測方法もあるが、カメラ以外の機材を現場に持ち込まなければならないという手間もあった。


出典:東芝

いずれにしても、作業時にかかる手間や、撮影後の写真と図面の照合・整理作業が大きな人的負担となっていたのがこれまでの現状だ。

この度開発された「点検情報管理AI」を用いることで、作業員だけでなくロボットやドローンで撮影した写真もサーバーへアップロードするだけで、撮影場所と被写体の大きさをAIが自動認識し、サイバー空間上での一括管理が可能だ。作業の自動化支援とリモートワークでの情報共有を容易にするシステムとなっている。

追加機材を導入することもなく、点検情報をサイバー空間上の図面に蓄積することができ、蓄積された点検情報は図面の該当箇所にアクセスすることで簡単に入手できる。この技術は、実世界におけるデータの収集と、サイバー空間で活用しやすい情報や知識構築を行うことが目的とされており、東芝グループの目指すCPSテクノロジーの具現化の一端を担っていく。


出典:東芝

東芝では、今回開発したこの「点検情報管理AI」を、東芝エネルギーシステムズ株式会社のエネルギーシステム向けIoTプラットフォームを使い公開し、2022年度の実用化を目指すとともに、ひび割れや錆などの「異常検知AI」や「メーター読み取りAI」、さらに蓄積したデータからの「経年変化検知・予測AI」を追加することで、点検情報管理AIの用途の拡大を見込んでいるとのことで、対応分野拡充にも合わせて取り組んでいくとのことだ。


□株式会社東芝
1枚の写真から撮影場所や被写体の大きさを自動認識・管理する「点検情報管理AI」を開発
リリース記事:https://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/2102_01.htm

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