施工中トンネル内で高速通信環境を構築し、業務効率化を実現

sugitec

東急建設株式会社(以下、東急建設)は、パナソニック株式会社コネクティッドソリューションズ社による技術支援のもと、高速電力線通信HD-PLC™マルチホップ通信方式(以下、HD-PLC)を活用し、施工中のトンネル坑内にて通信環境構築の実証実験を行った。

その結果、良好な通信環境を構築し業務効率化が実現されたという。マルチホップ通信とは、電力線を通信媒体とすることで、データを1つの端末から他の複数の端末へ次々とホップ(送信元と送信先間の経路のこと)させることで、通信距離を伸ばす通信方式だ。

全長1,500mのトンネル工事で業務効率化を実現

これまでの通信環境では、LANケーブルを坑口から切羽まで配線し環境を構築していたが、LANケーブルを100m以内の間隔でハブに接続しなければならないという手間が発生していた。また、LANケーブルが物理的に破損し通信が切断されるという問題を抱えていたという。

HD-PLCは、施工中であるトンネル坑内の仮設電力線を利用し、無線LAN(Wi-Fi)と共に設置することで通信環境を構築できるデバイスだ。耐久性に優れている仮設電力線は物理的破損の可能性も低く、また、新たに通信線を設置する必要もなくなる。

技術支援の背景
この実証実験では、HD-PLC技術を生み出した「HD-PLCアライアンス」の発起人であるパナソニック株式会社のBtoBソリューション事業を担うコネクティッドソリューションズ社の技術支援のもと実施されている。HD-PLCアライアンスでは、その普及促進等を目的としながら、地球温暖化や電力需給バランスのひっ迫等の社会課題を意識し、ICT/IoT化の推進を通じた省エネ・環境配慮による社会貢献に積極的に取り組んでいる。東急建設はこの技術の高い信頼性と環境配慮に対する積極的姿勢を背景に技術支援を受けるに至った。


出典:東急建設株式会社

今回、東急建設が行った実証実験は、全長1,500mのトンネル堀削工事(豊川用水二期西部幹線併設水路駒場池工区工事、独立行政法人水資源機構発注)で、HD-PLCデバイスと無線LANを坑内200m間隔で設置している。

実証実験は約10ヶ月間行われ、期間中は坑内での通話をはじめ、webカメラを用いた切羽の確認や濁水処理データの自動計測等が問題なく実施され、安定した通信環境で移動時間の大幅削減や意思決定の迅速化等の業務効率化が実現されたという。

HD-PLC概要

HD-PLC(High Definition Power Communication)とは、高速電力線通信のことで、通常の電力線上に2MHz~28MHzの短波帯を利用した通信技術。電力源となるコンセントに差し込むだけで簡単に通信環境を構築することができ、既存の電力線を利用することができるため、配線作業等の手間およびコストを削減できるメリットがある。

また、消費電力も極小であることから省エネ・環境配慮型の通信デバイスと言われており、自動車や飛行機、船舶などでコスト削減、燃費向上等を含めた通信環境構築を目的に利用されている。トンネル坑内においては理論上2,000mまで利用可能とのことだ。


出典:東急建設株式会社

東急建設では、今回の実証実験で出た課題をもとにさらに実験を重ねて精度を高め、施工中の現場への展開を進めていくという。


□東急建設株式会社
高速電力線通信「HD-PLC™」を活用し施工中トンネル坑内の通信環境を構築
https://www.tokyu-cnst.co.jp/topics/assets/f2509ffee3b3a9d6ddc91f45b3dffd4b1a719c08.pdf

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