大成建設株式会社と、株式会社インフォキューブLAFLAがこの度共同で、カメラ映像やIoT機器で得られたデジタルデータを用いた現場管理システムの「T-iDigital Field」の機能を拡張した。
「T-iDigital Field」とは、建設現場等の施工状況を可視化し、工事関係者で遠隔地からリアルタイムに情報共有できるシステムだ。現場の定点カメラや作業状況を映すウェアラブルカメラ、建機の位置情報や打設進捗などを各種センサーで得られたIoTデータによって可視化する複数の施工支援アプリケーションで構成されている。
出典:大成建設
これらは、CPS(Cyber-Physical Systems)の概念に基づき、施工中に得られる各種映像やセンサからのデジタルデータを仮想空間上でAIにより解析し最適解を導き出し、その結果を高付加価値な情報として工事関係者にフィードバックする。
CPS(Cyber-Physical Systems)とは
現実空間における様々なデータをセンサーとネットワークを通じて仮想空間に集約し、分析・解析を行った結果をフィードバックすることで産業システムの全過程に対し効率化することを目的とするもの。
出典:大成建設
データはリアルタイムに確認ができ、各種情報は作業所に設置されたモニターや、工事関係者のスマートフォンやPCなどで遠隔から容易に閲覧ができるようになっている。そのため工事関係者間で素早い情報共有ができることから、迅速な意思決定が可能となり生産性の向上に繋がる、いわば工事関係者をひとつに繋げるシステムと言える。
出典:大成建設
その「T-iDigital」がこのたび機能拡張された。既存の3つのアプリケーションに加えて、新たに建設機械と作業員に対する安全管理を可能とする「クレーン衝突防止」と「建設機械と作業員の位置・動線管理」のアプリケーションを開発・導入した。このアプリケーションについても工事関係者間に各種情報を提供でき、効率的な施工および安全管理を支援できるという。
アプリケーションの特長
1.クレーン衝突防止(椛川ダム建設工事)
クレーンブーム先端部と作業員に装着したGNSSの位置データや映像から、クレーン同士の接近や吊荷下に近づいている作業員を抽出。クレーンオペレーターには運転席のモニター表示と音声、作業員にはスマートウォッチを通してアラートを発することで、クレーンの衝突や吊荷との接触などの危険が迫っていることを周知し、事故を未然に防止する。
出典:大成建設
2.建設機械と作業員の位置・動線管理(泉パークタウン第6住区東工区宅地造成工事)
建設機械や作業員の位置情報データをGNSS端末で捕捉し、動線、立入禁止エリアへの侵入、建設機械と作業員の接近、車両速度の超過などのデジタルデータを収集する。それらデータを基に、危険・不安全行動を示した建設機械や作業員を特定し、災害リスクを低減できる動線や行動範囲を提示する。これにより的確な安全指導による災害防止や安全意識向上による災害リスク低減を図ることが可能となる。
出典:大成建設
大成建設では、これら「T-iDigital Field」に導入した安全管理アプリケーションに加えて、今後「進捗管理」や「作業員見守り」などに関する新たな現場管理アプリケーションの導入を予定しているという。
□大成建設株式会社
デジタルデータを活用した現場管理システム「T‐iDigital Field」の機能を拡張
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2020/201223_5058.html