株式会社理経(以下,理経)、株式会社自律制御システム研究所(以下,ACSL)、及びVFR株式会社(以下,VFR)は、自動車の自動運転の検証に用いられてるVR画像の生成技術を応用し、ドローン活用現場をリアルに構築したエミュレータを共同開発するとの発表があった。エミュレータとは、開発の検証を実機ではなくソフトウェアを用いて行う仕組みだ。
ACSLは2020年8月発表の中期経営方針「ACSL Accelerate FY20」において、非GPS環境下である煙突や閉所環境で使用する用途特化型の量産機体の開発を戦略の1つとして掲げている。
ACSLの自律飛行技術のVisual SLAM(画像処理を使用した自己位置推定技術)を搭載したドローンが用いられることで、非GPS環境下でも点検が可能となっており、今後もさらなる技術開発を進めるという。
出典:VFR
VFRはドローン事業者やエンドユーザー向けのサービス提供者、そしてエンドユーザー向けにソリューション提供を行っており、ACSLの用途特化型機体を共同開発している。産業用ドローン開発においては現場での実証実験を重ねることで、現場の課題解決に活かすことのできるドローンをカスタマイズし作り上げていくとのこと。
しかし、実証実験のためには現場での通常運用を止める必要がある。そのために実施までに時間を要してしまうことが課題となっていた。また、ドローン開発を効率的に行うためにエミュレータを用いるものの、従来のエミュレータではVisual SLAM飛行に用いられる様々なカメラには対応していない。そのために必要な検証ができないという課題があったという。
ACSLとVFRはこれら課題により技術開発や社会実装に遅れが生じないよう、ドローン開発用のエミュレータを新たに開発する必要があると考えていたそうだ。
理経は、IT及びエレクトロニクス業界のソリューションベンダーであり、建物や路面などの環境モデルと車両シミュレータによる車両モデルを統合し、VR上に再現する技術を開発している。現実と同等のVR空間を再現することが可能で、自動運転の検証にも用いられているという。
この度、理経の持つVR画像生成技術と、ACSLとVFRの持つドローン開発技術と実証実験の経験より、ドローン開発のための新たなエミュレータを開発することができると考え共同開発にいたっている。
出典:VFR
概要
- 一部実コントローラを使用したHILS構成を前提とし、CGで製作したVR空間を用いたエミュレータ開発を行う。
- VR空間上に実際と同様の建物、天候、ドローンモデル等を再現し、ドローンのフライトコントローラの制御信号に基づき、リアルタイムにドローンの挙動を計算・映像に反映する形でシミュレーションを行う。
- 更にドローンに搭載されたカメラ特性を踏まえた仮想カメラをVR空間内に配置し、リアルタイムに映像を生成することで、実映像と同等のCG映像をエミュレータに用いることが可能。これによってVisual SLAM開発に必要な膨大な映像データを短時間で生成可能となる。
3社はドローン活用現場をリアルに構築し、ステレオカメラ、赤外線カメラ、レーザー光を利用するLiDARセンサーなど、点検用ドローンに使用されるカメラに対応したエミュレータを共同で開発し、ドローン開発の効率化を図っていくとのこと。
また、ドローン開発にエミュレータを用いることで、煙突点検ドローンや閉鎖環境点検ドローン等の用途特化型機体の実証実験を重ね、カスタマーエクスペリエンス向上を目指すとしている。
VFR
理経、ACSL、VFRがVRを活用したドローン開発用エミュレータを共同開発
https://vfr.co.jp/articles/201209-droneemulator/