NTTドコモ、北米Skydio社の自律飛行ドローンを国内提供開始

sugitec

TeslaやGoogle、Apple等の出身者によって構成されていることで話題となった米国の「Skydio」社は、NVIDIA社などから約170億円の資金調達、日本からは「NTTドコモベンチャーズ」が今年の7月に出資を受けており、注目を集めている。

その理由は同社の開発するAIを活用した自律飛行ドローンで、GPSが使えない環境下でも自律飛行を可能にする「VISUAL SLAM」を活用した自律飛行を可能にしている技術力が挙げられる。

決められた地点間のルートを自動で飛行するという自動航行ではなく、そのルート上に障害物等があっても自ら計算して回避しつつ最適な飛行を可能にしているのが自律飛行。しかも非GPS環境でそれを行えるのがSkydioの技術だ。

そのSkydio社の自律飛行を可能にするドローン「Skydio 2™」が、「株式会社NTTドコモ」「Skydio,Inc」により、いよいよ国内提供が開始(20年11月13日より)された。

Skydio社自律飛行型ドローンを国内で提供を開始

「Skydio 2」は、AIによる自律飛行技術や障害物回避技術を搭載し、従来では飛行の難しかった場所でも安全な飛行を可能にしている。これまで課題とされていたパイロットの操作技術の習得が容易となり、産業用途でのドローンのさらなる活用が期待されているという。

また、今後順次提供が開始されるという機種「Skydio X2」では、赤外線カメラを搭載しており、より高度な飛行性能を有しているため、幅広いシーンにおける活用が期待されている。

その他提供予定の「Skydio Dock」は、所謂ドローンの発着基地のようなもので、ドローンを活用した点検や警備作業などに関するオペレーションを自動化・省人化する技術が搭載されており、運営の効率化が図れるものとなっている。

これらのSkydio社の製品と、ドコモのドローンプラットフォームである「docomo sky™」を連携することで、飛行計画の作成や撮影、取得データの管理・解析などを含めた一連の業務フローを一元管理し、ドローン活用のさらなる高度化と効率化を実現できるとのことだ。

Skydio社ドローンとdocomo skyの連携

概要

Skydio社の自律飛行ドローンと、クラウドでデータ管理やAIによるデータ解析機能を持ったdocomo skyを連携。これによりドローン飛行の安全性の向上と、撮影データ管理の効率化、AIによるデータ解析の高度化等、ドローン活用業務全体の高度化と効率化が実現。

連携イメージ


出典:NTTドコモ

期待される活用領域の例


出典:NTTドコモ

Skydio社のドローン

概要

AIによる自律飛行技術や障害物回避技術などのSkydio社の独自技術を活用することで、機体に搭載した複数の専用カメラで周囲を認識し、安全な飛行が可能。また、法人向け機能として、垂直方向への180°の画角調整を可能にする「180 Vertical View」や障害物センサーの検知範囲を縮小した「Precision Mode」等を含む「Skydio Autonomy™ Enterprise Foundation」を提供している。

特長

1.安全性
機体に搭載された6つの魚眼レンズカメラで常時周囲を確認することで、障害物を自動で回避する自律飛行が可能。GPSなどの位置情報が取得できない環境下においても安全な飛行が可能となり、これまでのドローンでは困難であった道路下の構造物や屋内での活用が期待されている。

2.操作性
機体以外に特別な装置の準備や長時間のセットアップ作業は不要。加えて自律飛行技術や障害物回避技術を搭載していることで、従来のドローンよりも操作方法を容易に習熟できる。


出典:NTTドコモ

Skydio2の有用性の検証

概要

Skydio2の有用性を検証するために、以下の点検作業を実施したとのこと。

障害物回避技術の有用性の検証
基地局の鉄塔、道路下の構造物、家屋の屋根の点検作業を実施。

非GPS環境下での自律飛行の検証
倉庫内点検、建物内の巡視作業

有用性検証の様子

高所構造物での飛行検証(基地局鉄塔点検)
障害物検知機能を活用することで、従来のドローンよりも点検対象物に近づいての撮影が可能。


出典:NTTドコモ

非GPS環境下での飛行検証(道路下の構造物点検)
GPS信号を受信しづらい道路下では、従来のドローンでは点検作業を行うのは困難とされてきたが、Skydio2の衝突物回避技術や飛行経路導出技術を活用することで、安定的な飛行を可能にし、これまで死角となっていた場所の写真撮影等、様々な場所での点検作業が可能となる。


出典:NTTドコモ

現在開発中という飛行経路導出機能は、飛行経路を3次元空間に自由に設定でき、飛行前にどこを飛行するのかを操作画面上で確認できるという。この機能で非GPS環境下での飛行の安全性を高めることが可能だ。


出典:NTTドコモ

狭所での飛行検証(倉庫内点検)
倉庫内に設置した棚上部の荷姿・梱包の確認作業は人手がかかるもので、効率化が必要とされている。作業の場所も狭く、従来のドローンでは飛行が困難だったが、Skydio2の障害物回避機能と、現在開発中という飛行経路導出アプリを活用することで、狭所においても安全な確認作業を可能にする。


出典:NTTドコモ

屋内での自律飛行・撮影(建物内巡視)
学校のような複雑な構造の建物内も、Skydio2の障害物回避機能と現在開発中である飛行経路導出機能を活用することで、非GPS環境下での自律飛行が可能だ。また自律飛行時にカメラの画角を変更することが可能であり、巡視したい場所や位置を自由に設定することもできる。


出典:NTTドコモ

追尾機能の検証(走行中の人物の自律飛行での追尾)
Skydio2は対象物を認識し、対象物の動きを予測・追尾する機能を持っており、安全に対象物を追尾するために対象を認識することに加えて障害物回避機能を活用している。


出典:NTTドコモ

まとめ

高い技術力により非GPS環境下での自律飛行を可能にしたSkydio社のドローンと、ドコモのプラットフォームであるdocomo skyを連携することで、これまで従来のドローンでは難しかった点検場所が点検可能になる。

今後、このSkydio2の機体の他にも赤外線カメラを搭載した機体も順次提供が開始されるとのことで、より幅広い現場に対応できるサービスになるだろう。

技術特集
技術開発でお困りですか?

スギテックでは、DXを推進していく中で、皆様が日々抱えている課題を解決するお手伝いをさせていただきます。

「技術開発を考えているが実現できる技術なのか?」「こんなことをやりたいと思っているが、費用は大体いくらかかるのか?」等、気軽に相談や見積もりができる所をお探しの方は、是非お気軽にお問い合わせください。

SUGITEC|建設業界の最新技術紹介
タイトルとURLをコピーしました