こんにちは。世間では自動車の自動運転技術が進められていますが、現場での重機等にも運転が自動化されつつあり、現場のICT化は着実に進んできています。過去には以下のような重機の運転自動化を取り上げています。
本日はまた現場での自動運転での運用の話題。「日野自動車株式会社」と「株式会社大林組」が、建設業における現場作業員の高齢化や就労人口の減少による労働力不足などの課題解決に向けた、大型ダンプトラックの自動運転の実証実験を実施するというプレスリリースがありました。
ダムの建設現場で大型ダンプトラックの自動運転実証実験を実施
両社では、労働者不足や夜間の単調作業の生産性向上などの課題解決に向けた、大型ダンプのレベル4(※1)に相当する自動運転の実証実験を、実際のダム建設現場「川上ダム(三重県伊賀市)」にて、2020年11月1日から1ヶ月半の期間で実施するとのこと。
(※1)レベル4相当の自動運転とは
これは特定の場所で自動運転等のシステムが全て操作できるレベルであるものです。日本国内ではまだ市販のものでこのレベル4を実行できるものはありません。
「日野」では、建設業を含むユーザーのビジネス課題の解決に向け、車両の自動化などのCASE(※2)を活用し、ユーザー起点のソリューションの実現を目指しているとのこと。
(※2)CASEとは
Connected(コネクティッド・接続制)Autonomous(自動運転)Shared(シェアード・共有)Electric(電動化)の頭文字を取った造語。新領域で技術革新、自動車業界を取り巻く変革の動き。
「大林組」は、省人化や生産性向上などの課題を解決すべく、建機の自動化や自動建機群を一元管理するプラットフォームの構築を目指した建設現場のロボティクスコンストラクション(※3)を推進しています。
(※3)ロボティクスコンストラクションとは
BIM・CIMなどの技術を用いて現実空間とバーチャル空間を結び、建設プロセスを高度化させる概念。施工では遠隔化や自動化を活用した現場の完全無人化を目指すもの。
両社では、社会課題の解決を加速していくために互いの知見を合わせ、大型ダンプトラックの自動運転の実用化に向け取り組まれています。
出典:大林組
この大型ダンプの実証実験では、夜間の建設現場で稼働する現場内の搬送ダンプに自動運転車を1台導入。有人ダンプと自動運転車が混在する交通下における運行への影響や全車自動運転車だけでの運用を検討。またこの実証実験では、建設現場の自動化に向けた建機連携を念頭に、データ取得することを主な目的としているとのこと。
自動運転車両および利用システム
この実証実験で使用される自動運転車は、ベース車両の大型トラック「日野プロフィア」に自動運転技術を搭載し、約1.3kmを最高30km/hで走行。
出典:大林組
車両の走行位置や経路はGNSSデータ、カメラ、LiDARで把握し、前方を走っている車がいる場合は全車速ACC(※4)で安全な車間距離を保ち、人および障害物を検知すると停止。今回の実証では安全を最優先し、想定外の事象に備えてシステム監視者が乗車するとのこと。
(※4)全車速ACCとは
車間距離の制御装置、前走者と自車の距離を自車の機器で計測・算出し、一定に保つという機能。
走行ルート
日々採取先が変わるコンクリート骨材ヤードの位置に応じて設定。狭いカーブや悪路、急勾配も含み、有人ダンプと混在した現実的な環境下での実証実験を実施するとのこと。
出典:大林組
両社では今回のこれら実証の結果を踏まえた上で、今後は荷積み・運搬・荷降ろしまで一貫したオペレーションや、複数台の自動運転車を活用した現場における運用の新たな構築を目指して、開発・実証を検討していくとのことです。
まとめ
今回の実証はあくまで将来の自動化に向けたデータの取得を主としており、実際にレベル4の自動運転ができるのかという部分の確認となります。
昨今では重機以外でも資材の搬送を行うロボットを自動化するなど、現場で決まったルートを走行するというものに関してはこのような自動運転化が進んできています。
夜間でも現場で稼働を必要とするものは、人ではなくこのように自動化できる技術があれば大きな省力化となります。業界の働き方の変革に向け、自動運転も重要な技術のひとつであることは間違いないでしょう。