こんにちは。ここ数年で建設業界にも随分と先端のテクノロジーが活用されることが増加してきました。特に昨今では新型コロナウイルスの対応などで、これまで以上の変革が必要となっている事実もあります。
アナログなイメージの根強い建設業界、実際にまだまだ作業が過去のアナログな方法で行われていることも多く、テクノロジーによる効率化が取り入れやすい側面もあり、新たなソリューションの出てくるスピードも上がっています。
建設業界では、ここ数年でスタートアップの参入・資金調達の事例は年々増加しておりますが、まだまだ伸びていく余地がありそうです。さて、本日もそんな先端のテクノロジーを活用した現場ソリューションをご紹介。
建機の接触災害を防ぐ人物検知システムが開発
「戸田建設」では、建設現場の建設機械と作業員の接触災害を防止するために、遠赤外線カメラを用いた人物検知システムを開発したとのこと。
このシステムは、温度検知する遠赤外線カメラと人工知能AIを用いて作業員や建設機械を検知できるもので、夜間や薄暗いトンネル坑内等、従来の可視光カメラでは検知するのが困難だった環境下でも作業員の安全を確保できるようになっています。
出典:戸田建設
開発背景
建設現場において「建設機械と作業員の接触災害」防止は重要な課題となっています。従来から利用されている可視光カメラを使った人物検知システムは、薄暗い場所や粉塵のある環境では検出精度が低下したり、遠距離の人物が検出できない、などの課題があったとのこと。
システム概要
このシステムでは、温度を検知する遠赤外線カメラとAIを用いて作業員や建設機械を検知。作業員や建設機械の温度を検知するため、夜間や薄暗いトンネル坑内等の光源が無い状況での適用が可能。
出典:戸田建設
また可視光カメラと比較し、粉じんや濃霧の影響を受けにくいという特長もあるそうです。システムの特長は以下。
1.高精度の人物検知
遠赤外線カメラとAIを用いることで、作業員を97%以上の精度で検出することが可能。
2.遠距離の人物検出を測距
カメラがら作業員までの距離を高い精度で推定(測距に対し1%程度の誤差)。最大で40m離れた人物の検出と測距が可能となっています。
3.至近距離の人物を検出
画像解析によってカメラの至近距離にいるため、全身の写らない作業員の検知も可能としています。
4.音と光と映像による警報
カメラと作業員の距離に応じた警報エリアを任意に設定することが可能。危険を検知すると警報エリアごとに設定した光と音で作業員に知らせます。また、機械運転席に設置したモニターによって、機械オペレーターは作業員を映像上で確認することを可能としています。
出典:戸田建設
出典:戸田建設
まとめ
先日、鴻池組からリリースされていた「人物2段階検知システム」というシステムをご紹介しましたが、あちらもAIを用いての判定システムとなっており、特長としては市販の安価な単眼カメラを使用でき、トンネル坑内の暗い環境でも0.1秒で検知できるという点でした。
今回の戸田建設のものはカメラは遠赤外線を使用する形となりますが、同様に暗い環境でも高い精度で検出ができるのと、粉じんや濃霧の影響を受けにくいという、遠赤外線カメラを使用することで得られているメリットもあります。
今回の戸田建設、先日の鴻池組の他に、今年7月くらいには清水建設も同様の接触災害防止システムをリリースされていることから、現場ではそれなりに問題になっているのだと感じます。