画像認識技AI+ドローンを用いた配筋検査技術

sugitec

こんにちは。i-Constructionを活用するために国交省が中心となり動いている制度に「PRISM(プリズム)」というものがあります。

これは建設業界の生産性を飛躍的に向上させるための革新的技術の導入と活用に関するプロジェクトとなり、主にIoTやAI、ロボット等のソリューションを活用する企業と国交省工事の受注会社がコンソーシアムを結成し、国交省に対し技術提案を行うものとなっています。

今回は、このPRISMに採択され、最高評価である「A評価」を受けた配筋検査AIをご紹介。

2年連続のPRISMへの採択となる画像認識技術とドローンを用いた配筋検査

画像・映像認識AIアルゴリズムの力でリアル産業のDXを目指す「株式会社ACES」「JFEエンジニアリング株式会社」は、令和元年度に国交省が公募した「PRISM」に採択。

共同DX事業開発の結果として最高評価の「A評価」に認定。この「A評価」は、導入効果や社会実装の実現性が最も高いとされるプロジェクトに与えられるもので、「画像認識技術とドローンを用いた配筋検査」が高く評価されたとのこと。

そして今年度のPRISMにも選定されたことから、2年連続の採択となります。ちなみにDXとは「デジタルトランスフォーメーション」のことで、ITテクノロジーの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念のことです。

配筋検査AIに関する開発概要

両社では多くの人員を要する配筋検査における鉄筋間隔計測、鉄筋本数計測と継手長計測を画像認識技術によって自動化するアルゴリズムを開発。また、画像取得方法と撮影高さの検証、計測結果の出力、帳簿化システムの開発も合わせて行っています。

開発のアプローチとしては、ドローンを用いて橋梁の真上から画像取得を行い、画像認識アルゴリズムを用いて鉄筋を認識。認識された鉄筋の間隔と本数を測定し、CSV出力を行うシステムを設計したとのこと。


出典:JFE

背景

土木・建築事業者は従来の出来形検査において以下の課題があります。

・黒板記帳、写真撮影、メジャー設置、立会いを伴うため多くの人手と労力を要する
・鉄筋間隔の計測の際は、検索区間のサンプリングを行うため抽出された範囲内でのみ検査を行っており、検査品質の担保に課題が残る
・測定結果を手入力により出来形調書を作成していることから労力がかかる


出典:JFE

これらの課題から両社は合成床版の配筋検査のうち鉄筋間隔などの平面的な検査項目に着目し、画像認識AIを用いた計測システムの開発と、ドローンで撮影した画像から配筋検査を実施することで検査の高度化・省力化を図るべく共同開発に至ったとのことです。

共同開発によって期待される効果

・画像処理により一括した検査とすることで施工者の省人化が期待できる

・従来の人手による計測よりも高精度に検査が行える

・従来サンプリング区間でのみ検査していたものが、橋梁全体での検査が可能となり安全性が向上

・全配筋情報の画像をエビデンスとして記録可能なことから立会検査の省力化につながる


出典:JFE

まとめ

開発された画像認識AIシステムによる橋梁工事における鉄筋検査・測量精度は、検査要求水準である5mm誤差以下を実現しているとのこと。

またこのシステムでの出来形管理の省力化効果は、従来と比較して最大で約75%の省人化効果をもたらす可能性があると算出されているそうです。

従来方法はまさにマンパワーといった感じで、各工程に人手を必要としますが、このソリューションは画像処理によって人の計測よりも高精度に行え、しかも全体の画像を記録できることからエビデンスとしての活用も可能になっています。

まさにA評価にふさわしい導入効果を持っているソリューションと言えますね。

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