こんにちは。昨今では製造などを行う企業において、作業者の身体の動きをサポートするアシストスーツが活用されることが増えてきています。
アシストスーツは重量物を持ち上げたりなど、一定の動きで生じる腰などへの負担を軽減してくれる製品です。製品にも種類があり、主にモーターを動力源にする電動のものと、ゴム製の人工筋肉を伸縮させる軽量な非電力系の2種が主となります。
この度、「清水建設」と、運動器のサポーティングシステムメーカーの「ダイヤ工業株式会社」が、工事現場でのスコップ等を使った堀削作業の負荷低減を図ることを目的とし、医療用サポーター技術を応用した汎用性の高いアシストスーツを共同開発したとのことです。
ゴムの伸縮機能を利用した低価格のアシストスーツ
工事現場での堀削作業の機械化が進んでいる昨今ですが、どうしても人手に頼らざるを得ない堀削作業は未だに現場では多くあるのが現状。
過去これまでも作業の負荷軽減を目的に、様々なアシストスーツが開発されてきましたが、堀削作業に特化したものはなかったとのことで、両社が堀削作業の負荷軽減を図るアシストスーツに開発に至ったとのこと。
出典:清水建設
アシストスーツ「ワーキングアシストAS」特長
このワーキングアシストASは、ベスト型となっており、胸回りと腰回りのベルトを締めるだけで着用できるようになっており、スーツの重量は電動タイプの1/8となる約500gと非常に軽量となっています。
アシスト機能を発揮する部位は、ゴム製のベスト背面の生地と利き腕の肩と反対の二の腕を背面で結ぶ肩腕ゴムベルト。
出典:清水建設
作業員が前かがみの堀削姿勢を採りスコップで土砂をすくおうとすると、背面の生地と肩腕ゴムベルトが伸び、逆に土砂をすくい上げる際には両方の生地が縮もうとするのでアシスト力を発揮し、作業負荷を軽減するという仕組み。
腰回りのベルトは腰を固定できる骨盤コルセット機能を備えており、作業姿勢を安定させ腰痛の発生を防止します。熱中症予防のため、全体をメッシュ素材にすることで通気性も高めており、脇下にはアイシングセルを入れるように保冷剤ポケットも付いています。
アシスト効果計測試験の結果
ダイヤ工業の実験施設で実施されたアシスト効果の計測試験では、堀削動作の中で特に筋肉への負担がかかるとされる、すくった土砂の投げ出し動作において脊柱起立筋の筋負担を10%程度軽減できるという結果が得られたそうです。
出典:清水建設
※数値計測には筋線維から発生する微弱な電流を計測することで、筋肉の使用程度を可視化できる筋電計及び、被験者の動作を3次元で計測しパソコン上で動作解析を行う計測機器を用いたとのこと。
まとめ
このアシストスーツ「ワーキングアシストAS」ですが、9月より販売予約を開始するそうで、その販売価格は税込み33,000円と非常にリーズナブル。
出典:清水建設
堀削作業の負荷軽減として開発されていますが、堀削作業だけという訳ではなく、両腕で行う重量物の持ち運び作業の負荷も軽減できることから、基本仕様をベスト1着と肩腕ゴムベルト2本のセットとし、農業や宅配、介護等への現場への展開も進めるとのことです。
近年、現場では機械化や省力化が進んでいますが、どうしても人手が必要な作業というのはあるもので、おそらく完全に無くなるということは無いかもしれません。そして昨今の現場作業員の高年齢化問題からも分かるように、作業を行うのは高齢の作業員という事も珍しくありません。
作業負荷を軽減し腰などへの負担も軽減できるこうしたアイテムは、意外と地味ですが確実な効果を生むのではないでしょうか。