こんにちは。弊社でも取り扱っている特許工法である「IPH工法」ですが、昨年11月に開催された国土交通省航空局の「第20回空港技術報告会」にて、有効な補修工法であるとの発表がされました。
その経緯により、今年度4月の国土交通省航空局の技術情報である「空港舗装維持管理マニュアル」に「IPH工法(内圧充填工)」が掲載されています。(P118~128及びP159)
IPH工法とは?
IPHとは「Inside Pressure Hardening」の略から来ており、日本語で「内圧充填接合補強」の意味です。
コンクリートの補修の際、従来の樹脂注入工法ではコンクリートの表層部の修復のみにとどまりますが、IPH工法では経年劣化や地震などで傷んだコンクリート構造体の「強度回復」や「長寿命化」までを実現する、従来の樹脂注入とは一線を画す高密度充填工法となっています。
なぜ構造体の機能回復まで実現できるのか?
コンクリート内部には空気が存在し、樹脂注入時には材料漏れ防止のために表面を密封しますが、そのせいで躯体内部の空気の逃げ場がなくなり、結果として空気は注入の圧力に抵抗します。その空気の抵抗力が注入材の侵入を阻害する要因になっているのが通常の樹脂注入工法です。
IPH工法では専用の注入器により、注入開始時に躯体内部に存在する空気を抜き取り、負圧の状態を作り出すことで、植物の葉脈に養分が行き渡るが如く、注入樹脂を高密度・高深度に微細なひび割れまで充填できます。
計測実績では0.01mm程度の微細クラックまで充填されることを確認しています。
IPH工法の特長
1.高密度充填
注入用エポキシ樹脂が高流動で、改修工事共通仕様書で0.4N/m㎡以下と定められている注入圧力が0.06N/m㎡の安定した低圧であり、毛細血管現象も活用しながらより自然な注入が可能。
2.微細クラックへの注入
微細なひび割れに対しての充填は、実際の現場で採取したコアを電子顕微鏡で計測した結果、0.01~0.02mmへの微細なひび割れに対しても高密度な充填結果が確認されています。
3.強度・耐久性の向上
微細ひび割れに充填できることで、コンクリート躯体強度が増し耐久性向上と長寿命化につながる他、断面修復後に注入を行うことで既存躯体と補修材部を一体化し再剥落防止対策となります。
4.止水工法としても
微細部への充填効果や水分の透水する微細なひび割れや湿潤状態のひび割れにも充填可能なため、構造物のみならず建築物の止水工法としても効果が期待できます。
5.中性化抑制効果
樹脂漏れ防止セメントペーストの配合成分が内部鉄筋にまで浸透し、鉄筋の防錆効果とコンクリートの再アルカリ化を図り、長期に渡り中性化抑止効果が持続します。
6.注入の可視化
注入の際の器具には透明度の高いカプセルを使用しているので、ひと目で注入の状況やどれだけ注入したか、注入量を目視確認することができます。
唯一、土木学会の技術評価を受けた注入工法
IPH工法は社会基盤施設のライフサイクルコスト低減が可能な工法として、日本建築学会及びコンクリート工学会に論文を発表し、土木学会技術評価を受けた唯一の注入工法となっています。
・土木学会技術評価認定(技術評価:第0009号)
・国道交通省新技術NETIS登録(番号:CG-070007-V)
・特許取得(特許登録番号:第5074118号)
施工の様子
下記はスギテックで施工を行ったコンクリート橋梁での施工事例となります。
まずは下処理を加えた後、注入ポイントを選定。一定ピッチで穿孔していきます。
穿孔後、台座の取り付けと注入ポイント以外のクラック部分に関してはピックアップシールで密閉し漏れを防ぎます。
専用のIPHカプセルを取り付けて、注入を行っていきます。
注入の完了後は仕上げ処理を施し、施工は完了です。
耐久性の向上でライフサイクルコストの低減に
このようにIPH工法にて補修を行ったコンクリート構造物は耐久性の向上までが見込まれ、結果補修の周期間隔を延ばすことが可能となります。その他、劣化部分に対しては斫り落とすことなく、そのまま欠損修復・注入を行うため解体殻は減少し、施工費や工期の低減も期待できます。
サンディングや穿孔を行う機材に関しても低騒音で無振動、粉塵も出さない専用工具での施工となりますので、周辺環境にも配慮されており、多くの施設は併用を妨げることなく利用状態での施工を可能としています。
まずはお気軽にお問い合わせください
土木・インフラ構造物や建築構造物まで、コンクリート構造物の補修のみならず、その強度・耐久性までを補強できるIPH工法。気になる方は是非一度お気軽にご相談ください。
また「ひとまず検討前にIPH工法のパンフレットを見たい」という方もお問い合わせいただけましたらパンフレットをPDF形式にてお送りさせていただきますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
[aside type=”boader”] お問い合わせフォームはこちら:https://www.sugitec.net/contact/index.html[/aside]