大成建設、多目的ロボットで病院運用を効率化する技術実証開始

sugitec

こんにちは。大手ゼネコンなどではAIやICT、ロボティクスを始めとするソリューションを活用し、自らの業界の業務の効率化だけでなく、他業界の効率化にも力を入れる所謂共創ビジネスを行う企業が増えてきています。

本日は「大成建設」「名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター」「モノプラス株式会社」との共同で、ロボットを使った新しい病院の運用システムを開発し、その実証研究を開始したとのリリースがありました。

ロボット導入による病院ニーズの探索と業務効率化の検証

3社は、市販されている自律走行型の多目的ロボット「temi※1」に、PC・モバイル端末を利用して動作を指示できるという人とのコミュニケーションツール「BuddyBot※2」を搭載し、病院の新たな運用システムの実証研究を開始したとのこと。

この研究は大成建設が進めている先進的ICTを活用した効率的な運用を行う、次世代型病院「スマートホスピタル構想※3」の実現を目的としているそうです。

※1. temiとは
AIによるコミュニケーション、あらかじめ登録した道順の案内や誘導、ビデオ電話機能等を搭載した自律走行型多目的ロボット。

※2. BuddyBotとは
病院運用の業務シナリオに合わせ、temiやその他機器の連動動作の実現を可能とする人とロボットとのコミュニケーションツール。(モノプラス株式会社の商標)

※3. スマートホスピタル構想とは
AIやIoT、ロボティクスなど先進的ICTを活用し、施設運用、施設内動線、施設内物流を効率化・最適化させ変革することで、施設のあり方そのものを大きく変えるデジタルトランスフォーメーションを具現化した、次世代型病院の実現に向けた取り組み。

背景

国内では2025年に団塊世代が75歳を超えることにより後期高齢者が急増し、それに伴う医療ニーズはさらに高まるとされています。また少子高齢化が進むことで、医療分野においても医師や看護師などのスタッフの人手不足が深刻になっています。

昨今の課題として医療現場での感染症拡大に関しても、治療などに対応できる病院スタッフ不足に対しても早急な対策が必要であり、感染予防のための新たな技術やシステムの開発が望まれているところです。

3社はこれら課題に対し、医療業務効率化、医療の安全確保、患者へのサービス向上のため新たな仕組みを導入し医療の質を向上させるためのソリューションの実証研究にいたります。

実証研究の概要

1.ICU内の看護師と病院内外の医師との遠隔コミュニケーションツールとしての活用

・看護師によるtemiの呼出、医師とのテレビ通話による対応。端末を活用した遠隔操作による移動、声掛け指示など。


出典:大成建設

・指定場所への自律走行による移動。


出典:大成建設

2.書類等軽量物の搬送作業への対応

収納容器装着による書類・医薬品など軽量物搬送。

3.安全性確保、感染症予防への対応

・PC,モバイル端末を活用した遠隔操作による移動、声掛け指示
・マスク着用有無などの識別と未着用者への声掛け、入館防止
・病棟フロア出入口で来院者の面会カード着用有無等の識別と警備、立入り拒否、入館防止
・熱検知センサーと連動した病院内での発熱者等への声掛け、指定場所に誘導
・感染症病室での遠隔回診

ソリューション導入で期待される効果


出典:大成建設

まとめ

少子高齢化が進む国内では今後益々医療ニーズが高まりますが、逆に人手不足が懸念されます。そのような現状の中、単純な効率化ではなく、このような先進的な取り組みで運用自体を大きく変えていく必要があります。

建設業界以外にもソリューション展開を進める同社ですが、様々な建物を竣工しているからこそ効果的な建物のライフサイクルマネジメントを実現するソリューションの開発は重要なのだと感じます。

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