こんにちは。ドローンと聞いて多くの人が思い浮かべるのは、プロペラが4基ついているものや6基ついているものを想像する人が多いかと思います。
それらはいわゆる普及モデルとして広く一般販売されているものですが、中には産業用のものでヘリコプターの姿をしていたり小型の飛行機のような姿をしているものもあり、一口にドローンと言っても多様になってきています。
本日はそんな従来の型とは違う飛行機型の固定翼の産業用ドローンを、SONYとZMPの共同出資企業である「エアロセンス株式会社」が開発し、販売開始したというリリースがありましたのでご紹介します。
高速で長距離の飛行が可能になる産業用途ドローン
同社は、測量や点検、物資輸送など多岐にわたるソリューションに向けた自律飛行型ドローンプラットフォームとして、1Kgまでの荷物を搭載して垂直離着陸を行い、最大速度100kmで50kmまでの飛行が可能という固定翼産業用ドローン「AS-VT01」を販売開始しました。
VTOL(Vertical Take-Off and Landing Aircraft:垂直離着陸型固定翼ドローン)と名付けられたこのドローンは、同社が自社開発したフライトコントローラーが採用されているのをはじめ、自社開発制御ハードウェア・ソフトウェアや、品質・保守体制をベースにこれまでの同社の知見、ノウハウを生かした独自技術が多数搭載されているとのこと。
出典:エアロセンス
主な用途
・土木事業における測量
これまで航続距離が短く制約があった、数十ヘクタールに及ぶ広範囲な自動測量が実現できます。
・設備の保守、点検
周辺道路が十分整備されていないために困難だった、山間部の設備の保守・点検がより容易に。
・精密農業
頻繁にフライトを行う必要のあった、大規模農場での土壌の特徴や作物の成長のばらつきの把握が効率よく行えます。
ドローン・プラットフォームとしての提供
自律飛行型ドローンは、測量・点検・物資輸送・災害調査・捜索など、今後さまざまな利活用が想定されます。これら実現にあたりドローン側に求められる基本的な性能指標として「可搬重量」と「飛行距離」に着目。
機体に求められる性能がどうあるべきか、数多くの基礎実験や実際の運用を想定した実証試験を重ね、データを蓄積しつつ開発を進めてきたそうです。そこで得られた知見とノウハウからドローンプラットフォームとして今回の機体が製品化したとのこと。
ポイント①垂直離着陸機能
固定翼があることで、従来機(AS-MC03-T)よりも前進効率が勝るため、移動距離あたりの燃費効率に優れているのが特徴。ただし固定翼のみでは離着陸するにあたり、十分な距離を持つ滑走路が必要となるために運用に制約が出てきます。
従来型(AS-MC03)、出典:エアロセンス
そこで今回の機体では、従来機で培った垂直離着陸技術を組み込むことで、固定翼機の高速性に加えて狭い場所や不整地においても離着陸場所を選ばない回転翼機の離着陸性も兼ね備えており、様々な用途に対応できる機体となっています。
ポイント②飛行距離
固定翼の採用で前進効率の向上、機体全体の空力性能の向上と徹底的な軽量化によって、最大飛行距離50kmを実現。従来機と比較して5倍もの距離を飛行可能になっています。
出典:エアロセンス
ポイント③可搬重量
推力重力比にゆとりを持たせた設計で1kgまでの貨物を運搬可能。
出典:エアロセンス
垂直離着陸の利便性と固定翼の高速性を生かし、高解像度カメラを搭載してフライトすることも想定しているとのことで、インフラ点検や農業などの産業分野での利活用拡大を見込んでいるそうです。
まとめ
固定翼で飛行機のような形をしていますが、その固定翼にプロペラが4基付いていることで従来のドローンのような垂直の離着陸を実現しているのでしょう。
このドローンのメリットはスピードと低燃費による航行距離の長さ。これは災害時の調査や、ドローン配送などの物流関係の用途でかなり活躍しそうに感じます。