こんにちは。今の建設業界でこれから使いたい技術として有望視されているものは多くありますが、中でも測量や調査のカテゴリーで注目されているものの中の筆頭に3次元点群データの活用があります。点群データとはポイントクラウドとも呼ばれ、対象物に対しレーザーの反射により計測したX・Y・Zの位置情報と色情報を持ったデータの事です。
現場や建物を可視化できる形で、まるごと保存することもできる点群データは様々な活用方法が考えられていますが、欠点としてはデータ容量が膨大になるという点です。
活用するにはその膨大なデータを実務に耐えうる形で処理できるソフトウェアが必要となりますが、NTTドコモが点群データを高速処理できることで定評のある「株式会社エリジオン」の「InfiPoints®」と自社クラウド技術を組み合わせた点群データソリューションの提供を開始しています。
効率的な3D図面作成・運用をトータルサポート
NTTドコモは、点群データを効率的に活用できるソリューションとして「Field Simulator™(フィールドシミュレーター)」の受注を6月30日より法人向けに提供を開始。
一般的に工場や設備室などに機器を設置・搬入する際には、現場採寸したデータを基にして図面を作成し、既存機器との干渉や、設置後に作業スペースを確保できるか等、シミュレーションを行います。しかしその際に計測漏れや追加確認事項があった場合、再度現場に行くなどの手戻りが発生するというリスクも存在します。
「Field Simulator™」では3次元情報を持つ点群データを用いることで、建物内の設備・配管・機材などを高精細に再現、可視化することができ、正確な物品搬入シミュレーションを行ったり、遠隔地にいながらでも採寸を可能にします。
点群データ活用フロー
「Field Simulator™」は、ドコモのネットワーク内に設置した「ドコモオープンイノベーションクラウド®」「クラウドダイレクト™」、そして株式会社エリジオン社提供の「InfiPoints®」を組み合わせることで、これまでにパソコンでマニュアル作業が必要だった点群データの合成処理やノイズ処理が、クラウド環境で自動処理できるようになるとのこと。
出典:NTTドコモ
さらに、高速・大容量・低遅延の5Gネットワークにも対応しており、大容量となる点群データのアップロード・ダウンロードの短時間化を実現することで、さらなる業務効率化が見込まれています。
NTTドコモでは、通信回線、通信デバイスの提供に加え、点群データ取得の代行作業もワンストップにすることで、初期導入、運用コストを削減を可能としています。
Field simulatorの特長
1.点群データによる様々な現場シミュレーションが可能。
2.クラウド上で点群データの合成とノイズ除去が自動で可能。
3.高セキュリティなクラウド環境での点群データ管理が可能。
4.複数人が遠隔地にいても同じ点群データをwebブラウザで確認できることで議論も可能。
5.日本全国の5Gエリア、4G(LTE)エリアで利用可能。
出典:NTTドコモ
まとめ
今回ご紹介のNTTドコモの「Field Simulator」の利用料金ですが、初期費用として5,000,000円+月額費用として数十万円~(利用方法をヒアリングの上決定)となっております。
エリジオン社の「InfiPoints」単体の場合は、ライセンス価格3,000,000円+年間保守600,000円。「InfiPoints」単体での機能は以下のようになっています。
出典:エリジオン
出典:NTTドコモ
「Field Simulator」はクラウド上で処理できるという点と、5G通信にも対応している点、業務効率改善をトータルサポートしてくれるという点が強みでしょうか。クラウド提供できるというのはインフラ大手ならではですね。
ちなみに大手といえばKDDIでは、ドローンのプラットフォームサービス「スマートドローン」で点群データの測量解析(クラウド連携)があるそうです。今はドローンの測量に限定されていますが、近いうちに今回のドコモのように点群サービスをリリースしてくる可能性はありそうですね。