こんにちは。よく床面が緑色などになっている床を見たことがあると思いますが、あのようにコンクリート床面に対し着色して仕上げる工法は、塗り床仕上げと言われます。
塗り床にも硬質ウレタン系の塗り床材やエポキシ系の仕上げ塗り材などの種類があり、それぞれ硬質ウレタン系であればエポキシに比べて施工難度やコストは高いが、耐熱性や耐衝撃性に優れていたり、エポキシ系であれば施工は容易で発色も良いが、耐熱性や耐衝撃性が足りていない物が多かったり、下地乾燥が必要なのでその分日数がかかったりと、当然メリット・デメリットがあります。
今回はそんな塗り床剤に関して「大林組」と「アルファ工業株式会社」が共同で、コンクリートへ浸透することで塗床材の剥離のリスクを大幅に軽減するという、「浸透一体型塗り床工法」が開発されたとのことで、そちらをご紹介。
出典:大林組
浸透一体型塗り床工法「アンカープロテクション®」
物流施設や生産施設などにおける床面への着色仕上げを行う場合、一般的に下地コンクリートが生乾き状態の時に、着色した粉体材料を散布して金ごてで仕上げるセメント一体型塗り床材や、エポキシ樹脂系塗り床材が採用されています。
しかし、セメント一体型塗り床材の場合、粉体の散布量や金ごての押さえのタイミングなどの施工難度が高く、色むらや変色が発生してしまう可能性があります。
出典:大林組
エポキシ樹脂系に関しては下地コンクリートの硬化後の施工となるので、色むらや変色はありませんが、重量物の落下やフォークリフトなどが繰り返し走行することによる外力で、コンクリートと塗り床材の仕上げ層の界面で剥離が発生するリスクがあり、これらは対策が求められているものでした。
また、一部に剥離が起こることで、そこを起点に剥離が一気に進行するため、その補修のために施設の動線を変えなければならなくなる等の大きな問題に発展することもあります。
アンカープロテクション特長
この度、両社で開発された「アンカープロテクション」工法では、高浸透性のエポキシ樹脂系の塗り床材を使うことで、塗り床材が剥離するリスクを大幅に低減する塗り床工法となっています。
1.塗り床材の剥離リスクを大幅に低減
塗り床材が硬化したコンクリート表層に浸透することでコンクリートと一体化します。コンクリートと塗り床仕上げ層との間の界面が存在しないため、塗り床材が剥離するリスクが大幅に低減されます。
また、コンクリート表面に形成された塗り床仕上げ層は、色むらや変色がなく美しく着色が可能。剥離に対する接着強度は一般的なエポキシ樹脂系塗り床材の3倍あるということが実験により確認されているとのこと。
出典:大林組
耐衝撃性においても、従来の材料より優れた性能を有するため、重量物の落下によるひび割れをきっかけにした剥離が起こるリスクも低減されているそうです。さらに、ひび割れが起きた場合でも容易に剥離が進展することなく、最小限の範囲で補修することが可能になっているとのこと。
出典:大林組
2.耐摩耗性が高くメンテナンスコストを削減
物流施設や生産施設において、特に車両やフォークリフトの走行経路になっている部分では、タイヤによって塗り床仕上げ層が摩耗し、通常よりも短い期間で塗り替えなければならない場合もあります。
アンカープロテクションでは、一般的なエポキシ樹脂と同程度の厚みでありながら、耐摩耗性に優れており、長期間塗り替えることなく利用できるためメンテナンスコストを低減。
耐摩耗性試験では、従来のエポキシ樹脂系塗り床材の半分程度の摩耗量であるということが確認されたそうです。
まとめ
コンクリート表層へしっかりと浸透することで、コンクリートと一体化して仕上げの界面自体を無くしてしまうというのは画期的ですね。
施工に関しても従来のエポキシ樹脂系と変わりなさそうなので、この材料を使用することでこれまでのエポキシ樹脂系の仕上げよりも品質が上がるのであればコスト次第で使ってみる価値はありそうですね。
ちなみにこちらのアンカープロテクションに使用するエポキシ樹脂系塗り床材はアルファ工業にて販売されているそうです。
■アルファ工業HP:https://alpha-kogyo.com/
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大林組コーポレート・コミュニケーション室広報第一課
TEL:03-5769-1014