こんにちは。昨日もお伝えしていましたが、DJIサイトの気になるティザーサイトの製品が発表となりました。
新型の「MATRICE」あたりが登場するかと予想されていましたが、その予想通りにフラッグシップモデルとなる「MATRICE 300 RTK」が発表されました。
それと合わせて、ハイブリッドカメラの「ZENMUSE H20」シリーズも発表されています。
最大飛行時間55分、伝送距離15kmの圧倒的性能
DJIの産業用ドローンプラットフォームのハイエンド最新機種「MATRICE 300 RTK」と、ハイブリッドマルチセンサーカメラ「Zenmuse H20」シリーズの発表。
DJI社では、このオールインワンソリューションを開発することで、これまでの作業や業務領域の可能性を広げ、空中での正確な点検、調査、データ収集ミッションを実現。
DJIコーポレートストラテジー担当シニアディレクターのクリスティーナ氏は「M300 RTK飛行プラットフォームとZenmuse H20カメラシリーズは、法人のお客様により安全でスマートなソリューションを提供します。このソリューションは、産業用UAVソリューションの基準を刷新し、公共安全、警察・消防、エネルギー、測量やマッピング、さらには重要なインフラの点検全体の運用を大幅に強化します」と述べています。
DJI MATRICE 300 RTK
同機種は、最新航空技術、高度なAI機能、6方向検知と測位技術システム、UAV状態管理システム、55分間の長時間飛行を組み合わせた製品となっています。
AES‐256暗号化と保護等級IP45の耐候性筐体に加えて、まったく新しいOcuSync Enterprise伝送システムが組み込まれているというこのドローンプラットフォームは、3チャンネルで1,080p動画伝送、最大伝送距離15kmを実現。
多様な用途に対応する「M300 RTK」は、最大で3つのペイロードを同時にサポートし、最大で2.7kgの積載能力を備えています。
より効率的なデータ収集
M300 RTKとZenmuse H20シリーズを組み合わせることで、2種類のインテリジェントなデータ収集方法が実現。
スマートピン&トラック
調整されたミッションでの空撮知能の同期を強化するインテリジェント機能で、ピンポイントはターゲットとなる対象物にマークを付け、正確な位置データをもう1人の操縦者に即座に共有したり、必要に応じてDJI FlightHub経由で地上チームに情報共有することができる機能。
スマートトラックは、離れた距離からでも動く対象物を自動で検知し、追跡しながら対象物の動的な位置をリアルタイムで同期できます。
スマート点検
送電線、鉄道、石油やガスプラントの点検といった定期的なデータ収集ミッションを最適化するために開発された、以下の新しい機能セットです。
・ライブミション記録
リアルタイムで自動ミッションのデモ飛行を記録。
・AIスポット確認
毎回正確に同じ位置からデータ収集ができる機能で、自動ミッションの精度を大幅に改善できます。デモ飛行中に撮影したウェイポイント点検ミッションの写真を記録後、操縦者や点検者は特定の対象物にマークを付けることが可能。
次回の自動飛行ミッション中に、AIアルゴリズムがマークされた被写体と現在のライブビューを比較することでカメラの方向を補正し、正確で矛盾のないデータの取得を可能にします。
・Waypoint2.0
最大で65,535個のウェイポイント(通過点)を設定できるよう改良された飛行計画システムで、連続した一連のアクションやサードパーティー製ペイロードなどにも対応。
航空機レベルの状況認識力
現在運行されている航空機にヒントを得たという「M300 RTK」には、PFD(プライマリーフライトディスプレイ)が搭載され、リアルタイムの飛行情報と航空情報を1つのディスプレイに統合して表示します。
M300 RTKのPFDは、高度や速度などの標準テレメトリデータに加え、飛行中に近くの障害物を可視化する障害物データを提供するため、操縦者は必要に応じて飛行軌道を調整することが可能。こういった機能強化により、操縦者は機体を追跡しながら同時に状況認識力を更に高め、安心・安全な飛行を確保することができます。
様々な制御を指先だけで
同社の産業用ドローンプラットフォームに新たに導入された新機能、M300 RTK専用の高度なデュアルオペレーターモードは、安全性、信頼性、柔軟性を高めながらミッションの遂行を可能にするマルチパイロット制御プロトコルです。
2人の操縦者が制御すると、各操縦者に同等のアクセス権を与えて飛行制御の優先順位を取得します。優先順位の切り替えは同社のスマート送信機の一連のアイコンで表示。1人の操縦者に問題が発生したり、送信機のバッテリー切れや接続不良が発生した場合、もう1人の操縦者がM300 RTKとそのペイロードを完全に制御できるようになっています。
また、新しい操縦者を訓練する場合、教官/主操縦者パイロットは必要に応じて安全に飛行制御を引き継ぐことが可能です。
安全性と信頼性の向上
M300 RTKは安全性と信頼性が強化され、以下の新機能が追加されています。
・AES-256暗号化:コマンド&コントロールアップリンク及びビデオ送信ダウンリンクの安全なデータ送信
・AirSense(ADS-Bテクノロジー):空域の安全性を強化
・衝突防止ビーコン:特に低照度環境下での機体の視認性を向上
・IP45保護等級および自己発熱型バッテリー:悪天候条件用(-20〜50℃)
・6方向検知&測位技術システム:水平方向に最大40mの検知範囲を実現し、DJI Pilotアプリで機体の検知動作をカスタマイズするオプションも用意
現代の旅客機と同様、M300 RTKは統合型UAV状態管理システムを導入し、フリート(航空隊)のメンテナンスを最適化。機体のフライトデータを初回から全て記録し、さらにドローンのハードウェアとソフトウェアの両システムを利用し、現在の機体性能を把握した上で、今後のメンテナンスの判断材料にします。
この新たなシステムを活用することで、機体の重要システムの全ての概要を確認し、フリート全体でファームウェア更新の管理、飛行時間の追跡、飛行任務を確認できます。
2つのバージョンがあるZenmuse H20シリーズ
M300 RTKが規定する新しい基準に合わせて、同社はミッション効率を改善する新しいカメラペイロードを発表。「Zenmuse H20」シリーズは、同社で初となるハイブリッドマルチセンサーソリューションを実現。
効率的な時間管理と多層的な視覚にすぐにアクセスすることが重要な産業用途および公共安全ミッションのため、あらゆる映像を撮影できるようになります。H20シリーズはIP44保護等級に分類され、どの方向からの水しぶきからも筐体を保護します。
Zenmuse H20
20MPのハイブリッド光学23倍ズームカメラ、12MP広角カメラ、3m〜1,200mの距離をカバーするレーザー距離計を搭載したトリプルセンサー。
Zenmuse H20T
640×512放射分析サーマルカメラを加えたクアッドセンサー。高い熱感度と30fpsの動画解像度により、操縦者は人の目では見えないものを捉えることが可能。
まとめ
やはり予想通りMATRICEの新機種が出てきました。55分の飛行時間やデュアルオペレーターモードなど進化部分は多数。合わせて初のハイブリッドマルチセンサーであるZenmuseの新型まで登場しました。
機能的な驚きもそうですが、M300 RTKの値段が約95万円(バッテリーと充電器含まず)というこの価格設定にも驚きです。この先端性能でこの価格はかなりお得だと感じます。これはこれから産業用途のドローンを導入しようとお考えの方にはかなりオススメできそうな機種ですね。