スマートドローンを活用した線路設備点検効率化

sugitec

こんにちは。日々の列車の安全な運行の為には必須となる鉄道の線路設備の点検ですが、これまでは人による目視での作業が一般的でした。しかしマンパワーに頼るこの手法は多くの時間と労力を必要とします。

本日はそんな鉄道の線路設備点検に、新たな試みとしてドローンの自律飛行を活用しようという話題。

線路設備上空におけるドローンの自律飛行と空撮映像の伝送

KDDIは、JR東日本と株式会社プロドローンの協力のもと、2020年2月4、5日に鉄道用保守基地内において、「スマートドローン」を活用した線路設備点検の効率化に向けた実証実験を実施。

スマートドローンとは、KDDIのモバイル通信ネットワークに対応した、目視外自律飛行や遠隔監視制御が可能なドローンのことです。

◆KDDI:「スマートドローン:http://smartdrone.kddi.com/」


出典:KDDI

各社の役割は以下

・KDDI:実験の計画策定、フライト実施、フライト結果分析
・JR東日本:実験の計画策定、実験場の提供、フライト結果分析
・プロドローン:ドローン機体開発、フライト補助

背景

鉄道会社における列車の運行では、異常時に車両や線路設備などの点検により、安全確保を行う必要がありますが、その為には昼夜を問わず係員を現地へ派遣し、目視による確認と迅速で正確な係員間の情報伝達が必要となります。

これらの作業には多くの時間と労力を要していましたが、ドローンを活用することによって移動時間の削減や、迅速で正確な現場の状況把握が可能になることが期待されています。

実証実験結果

今回行われた実証実験では、KDDIのスマートドローンプラットフォームを活用し、線路設備上空の飛行ルートをドローンが自律飛行できること。

また、ドローンに搭載したカメラやLEDライトを使用して線路設備を撮影し、昼夜を問わず遠隔地の係員へ映像を伝送できることが実証できたそうです。


出典:KDDI

また、この実証実験を行うにあたり、ドローンの飛行性能やドローン運行に必要なカメラ、LEDライトなどの要件をKDDIとJR東日本が共同で定義。

今後はドローンによる線路設備点検の要件をより明確にし、具体的な運用ユースケースに沿った検証を行うことで、実運用へ向け取り組んでいくとのこと。

ちなみにこの実証実験は、JRA東日本が主催する交通事業者と国内外企業や研究機関などとのオープンイノベーションによってモビリティ変革を実現することを目的とした「モビリティ変革コンソーシアム」活動の一環として行われているそうです。

実証実験詳細

1.線路設備上空におけるドローンの自律飛行の実施と飛行精度の検証

長さ200mの線路設備上を、20mの高度を維持しながらドローンを自律飛行で往復させ、撮影対象となる線路設備を撮影フレーム内にとらえ続けることに成功しています。

2.ドローンが空撮した映像の伝送

ドローンに搭載したカメラで撮影した映像を、LTE通信網を用いて遠隔地の係員のもとに伝送し、点検対象の線路設備の状況を昼夜問わず遠隔で把握できることが確認されています。


出典:KDDI

上記1、2の実験と合わせて、騒音計・照度計を使ってドローンフライト時の騒音・照度レベルを計測し、実運用に向けたデータの取得も実施したとのこと。

まとめ

昨今では、列車の車両下部にカメラやセンサー類などを設置して線路をモニタリングするという手法が登場し、既に実際に首都圏の路線で活用されており、点検の効率化がなされてきています。

今回は新たな試みとしてドローンの自律飛行を活用した点検ということで、移動時間と労力の削減も大きなメリットですし、昼夜を問わず点検を行いながらその映像を遠隔地の係員に伝送できるということで、これまでよりもかなりの迅速化が図れそうな技術になっていますね。

唯一弱点と考えられそうな部分としては、電波障害等が起きないかという点と、やはり天候に左右される部分が大きいという点でしょうか。このあたりはドローン機体性能や信頼性の部分もありますので、実運用にあたって無理のない計画で調整しつつ、今後のハード面の進化に期待というところでしょうか。

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