こんにちは。あらゆる産業での活用が進むドローン。施設の調査などでの活用や、大きなペイロードを持つ配送用のドローンなどその種類も様々です。
そんな中でも、他には無い200g以下の航空法規制対象外ドローンを改造したマイクロドローンの活用で異彩を放っている「株式会社アイ・ロボティクス」の狭隘部点検サービス。
このサービスは先日「OsakaMetro」の駅の天井裏の点検に採択されるなど、拡大の兆しを見せています。
このアイ・ロボティクス社のマイクロドローンが、また新たな場所で活用されることとなりそうです。その場所は三菱地所株式会社の子会社となる「株式会社東京流通センター(以下 TRC)」の物流施設。
デジタルテクノロジーを組み合わせた運営・管理方法の開発目指す
今回TRCは、ドローンの社会実装に取り組むベンチャー企業の株式会社アイ・ロボティクスと、ドローンを活用した物流施設の運営・管理を目指して協業を開始。
出典:アイ・ロボティクス
出典:アイ・ロボティクス
TRCの所有する物流施設の一部をドローン飛行の実験場として、1967年の創業以来培ってきた物流施設特有の運営・管理のノウハウを通じ、現状の課題を分析し、アイ・ロボティクスが提供するドローン技術を活用した実証実験を重ね、将来的な実用化・事業化を見据えた一層高度かつ効率的な運営・管理方法の開発を目指すとのこと。
ちなみにこの協業以前、三菱地所が実施したベンチャー企業からの事業提案を募る「2018年度コーポレートアクセラレータプログラム※1」において、優秀賞(203社の内5社)を受賞したのがアイ・ロボティクスだったそうです。
出典:PRTIMES
今回の物流施設内での実証実験・協業による研究開発は両社にとっても初とのこと。
※1 コーポレートアクセラレータプログラム
三菱地所が実施する新事業創出の取り組みとして、三菱地所がスポンサーとしてベンチャー企業に資金・技術・販路等の経営リソースを提供し、ベンチャー企業からの事業提案を募るプログラム。特に有望はビジネスプランには、プログラム終了後に三菱地所からの出資や、三菱地所施設でのサービス開始を検討し、新事業の立ち上げに向けた取り組みを本格的に開始する。
協業の概要
出典:アイ・ロボティクス
・TRCが所有する物流施設の一部区画(約1,200㎡)実証実験場所として提供。
・TRCが培ってきた物流施設の運営管理ノウハウからドローン活用シーンを検証。
・アイ・ロボティクスが有する国内有数のマイクロドローンの飛行制御システムの開発ノウハウにより、通常ドローンでは難しい屋内・狭所の飛行による産業用サービス開発を目指す。
・マイクロドローンの特性(以下①②)により、今まで困難であった物流施設内での点検作業を実現するとともに、同作業により可能となる新しいアプローチからソリューションを検討。
①小型:ドローンが吹き出す風が小さく周囲への影響が限定的で、自動搬送設備や荷物ラックの直上部の天井面(4~6m)及び配管の隙間等、人手が届きにくい高所狭所の点検が可能。
②軽量:万が一の接触・落下時でも安全なため、24時間365日、人・物・トラックが行き交う施設内でも物流作業を止めること無く点検・データ取得が可能。
将来的にはドローンとIoTにより、倉庫区画内外の様々な情報(不具合事象の傾向、倉庫内状況等)をデータ化し組み合わせることで、デジタルツインソリューション※2 を実現し、設計や運営管理の高度化・効率化を目指す。
※2 デジタルツインソリューション
現実にある物理的システムと、センサー等からリアルタイムに取得したデータでバーチャルに可視化・再現した仮想的システムを同時並行的に管理することで、現実に起きるであろう課題をバーチャルで予測、再現させて解決策を生み出すソリューション。
実験内容一例
◆使用ドローン
直径8~19cm、重量170g以下の複数のドローン
出典:アイ・ロボティクス
◆実験内容
実際の倉庫状況を再現し、狭所・高所点検、安全(落下時等)性検証、障害物検知及び、回避制御検証等により、点検作業の実用化の可否を検証。
まとめ
というわけで、現段階で何か具体的なものを活用しているということではなく、将来の様々なサービス提供に向けたノウハウとリソースの共有、そして実証実験の場としてTRCの物流施設が提供されている形。
マイクロドローンに関しては、天井部分の点検はお家芸とも言えますので大きな効果を発揮しそうですね。物流施設は24時間365日稼働している場所になりますので、そこを止めることなく作業を行っていけるのは大きな強みです。
今後、この協業からどんなソリューションが出てくるのか楽しみです。