こんにちは。建設業界の現場でも活用が進んでいるロボット技術ですが、竹中工務店がBIMデータ(※1)を活用した「建設ロボットプラットフォーム」という基盤システムを開発したとのプレスがありました。
このプラットフォームですが、ロボットが自律走行をするための経路・範囲シミュレーション、および遠隔操作や監視を可能にするとのこと。
※1 BIMデータ
「Building Information Modeling」の略。コンピュータ上に作成した3次元建物モデルに、仕上げ、コスト、管理情報等の属性データを追加したものを、設計から施工、維持管理まであらゆる工程で活用する概念
BIMデータをロボットの3次元地図情報として活用
このシステム自体は「ブレインズテクノロジー株式会社」に委託され開発されています。システムはクラウド上で稼働し、施工中の建物内におけるロボット運用に寄与。
出典:竹中工務店
従来の施工中の建物内でのロボット運用については、カラーコーンをターゲットにして作業範囲を指定する必要があることや、ロボットや機械の稼働台数の増加、機能の高度化に伴う保守・運用に関する管理業務が多様化する等、各管理業務の効率化が喫緊の課題です。
作業範囲の拡大、稼働状況の管理
「建設ロボットプラットフォーム」では、搬送ルートを指定していた作業を不要にするだけでなく、カラーコーンが見える範囲でのみしか使用できなかたロボットの作業範囲も大幅に拡大できるようになります。
さらに、台数が増える建設ロボットの稼働状況を、ロボットを保有しているレンタル会社と管理することで、保守運用業務の効率化にも期待できます。
同社では、2020年6月まで試適用を繰り返し行い、2020年度中に本格的にシステムを展開していくそうです。
建設ロボットプラットフォーム概要
働き方改革が社会的課題となる中、様々なサービス領域でロボットに期待される役割が増えています。
建設業界においても施工段階での本格的な清掃ロボット、建設資材の自動搬送、日常の品質管理記録、ロボットの運用領域が拡大してきています。
出典:竹中工務店
一方、ロボットや機械の稼働台数増加、機能の高度化に伴って、保守・運用に関する管理業務も多様化してきており、今後ロボットを効果的に活用するにはロボットの自律的な稼働の実現と、安全稼働状況の監視および異常時に適切に制御できることが重要になってきます。
これら課題から、クラウド上で稼働する建設ロボットプラットフォームでは、主に以下が可能となります。
BIMデータ連携による自律飛行
BIMデータを地図情報としてクラウド上でロボットの移動および動作範囲を設定し、遠隔指示でのロボットの自律走行を可能とする。(一般的に行われているロボット走行のための、現地での事前ティーチングや磁器テープ・2次元コード等による動作範囲指定等の手間を省くと共に、動作範囲の最適化を図る)
遠隔監視とソフトウェア開発の効率化
・クラウド上での建設ロボットのバッテリー状態、異常状態の遠隔監視
・ロボット制御等の共通ソフトウェアの開発・更新、さらに各種センサー等の先端デジタル技術との複合的な開発・運用による改良のスピード化
まとめ
このプラットフォームの開発ですが、建設産業の生産性および魅力向上に向けたロボットやIoTの活用を目的に、「鹿島建設」と技術連携の一環として行っている「場内搬送管理システム・建設ロボットプラットフォーム」開発のうち、竹中工務店が担っている開発項目となります。
先日、竹中工務店と鹿島建設の技術提携の発表があったというのを話題にしましたが、両社でこれを相互利用していく形になりそうですね。
スーパーゼネコン2社のあらゆる現場で活用されることで知見も蓄積され、より質の高いプラットフォームシステムになっていくのは間違いないでしょう。
ちなみに今後、残りのスーパーゼネコン3社(清水建設、大成建設、大林組)や準大手・中堅ゼネコンなども、この技術提携・連携の中に加わってくる可能性は高いそうです。