こんにちは。一昨日、東京メトロがドローンを活用したトンネル点検を開始したとのニュースをお伝えしましたが、本日大阪メトロの方で構造物点検にドローンを導入したというニュースがありました。地下鉄点検のドローン活用が加速していきそうです。
ちなみに「OsakaMetro」が採用したのは、狭隘部の点検用に開発された「株式会社アイ・ロボティクス」のマイクロ・ドローンです。こちらのこのブログの方で何度かご紹介したことがあります。
駅のホーム天井内の点検に手のひらサイズのマイクロ・ドローンを導入
ということで、東京メトロは地下鉄のトンネル点検への活用でしたが、OsakaMetroは駅ホームの天井内という人が立ち入ることが困難な箇所に対してマイクロ・ドローンソリューションを導入することとなります。
このマイクロ・ドローンですが、レースやホビー用のドローンをベースに、目的に合わせてカスタマイズ開発された小型で安全な産業用の機体となります。
出典:アイ・ロボティクス
HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などを介して操縦者が自ら搭乗飛行する感覚で、撮影と点検を行うことが出来ます。(当然ながら、アイ・ロボティクスでは電波法その他関連法規や安全基準に対し完全理解をした上で合法的・合理的な事業を進めている)
背景
全国の地下鉄や鉄道の駅舎やトンネルは建設から数十年を経ており、経年による構造物の劣化が進んでいます。
これまでの軌道部天井裏の狭隘部の点検については、終電後~始発までの限られた短時間作業に限られており、そのコストも莫大に掛かるので容易に実施することは難しかったそうです。しかし、老朽化に起因したコンクリートの劣化は発生していますので、これらの点検は急務。
このような状況の中でOsakaMetroでは、より安全な鉄道構造物の維持管理を目指して点検・検査のあり方を検討しており、遠隔制御機械を活用した点検の高度化や省力化に取り組んでいるとのこと。
そのひとつとして、短時間で成果をあげられることを実証したアイ・ロボティクス社の「マイクロ・ドローンでの狭隘部点検サービス」の採択に至ります。
Osaka Metroにおける駅舎の天井裏点検
大阪市内の地下鉄にて、人が立ち入ることが困難な天井裏に対して、アイ・ロボティクスのマイクロ・ドローンによる撮影調査を実施(俯瞰・近接撮影調査)。
ドローンは天井下地材や配管、ダクト等をよけて飛行し、結果、目的とする土木構造物の状態確認が十分に行えることが実証されたそうです。今後は更に対象範囲を拡大し点検を実施していくとのこと。
出典:アイ・ロボティクス
↓の動画はマイクロドローンでの撮影状況です
導入時期
2020年2月中旬
導入による効果
(1)点検作業の効率化および省力化
・点検用足場の設置や天井仕上材の撤去不要による点検期間の短縮
・点検に要する保守作業員の労力軽減
・構造物の詳細確認箇所を高精細画像により確認可能
(2)保守作業員の安全性向上
・点検足場上などの高所部や狭い天井内の移動を伴う立ち入りが不要
狭隘部におけるマイクロ・ドローンの有効性
あらゆる土木・建築構造物は、定められた法令に基づき適切に管理・修繕され、安全性を維持する必要があります。
しかし、煙突や管路、トンネル、天井裏といった狭隘部の検査は容易ではなく、また多くのプラントやインフラは老朽化が進行しており、人によらない自動化・遠隔化ソリューションの実現は喫緊の課題とされています。
アイ・ロボティクス社が展開するマイクロ・ドローンによる狭隘部ドローン点検サービスは煙突や管路、トンネルなどの狭隘部に直径8~19cm、重量70~170g程度の特殊なドローンを送り込み、遠隔操作によりこれを操作することで、人命を危険にさらすことなく、効率的かつ効果的な点検・撮影を行うことが可能。
また、汎用の通信技術を利用し、遠隔操作によって効率的運用ができることから、発電用のボイラー、化学プラントの反応炉等、人が入ることができない特殊な環境下でも運用可能とのこと。
サービス特徴
狭隘部点検サービスでは、ユーザーの従来の工法や作業上の課題を把握した上で、同社サービスを組み合わせて活用することで、シナジー効果が見込めるものとなっています。
出典:アイ・ロボティクス
例として、人が危険を冒して直接点検をしていた場所を、事前にマイクロ・ドローンで安全性を確認したり、内部状況を確認して精密点検すべき箇所の見当をつけられるので、劇的な安全性の向上と確実な工期短縮・コスト低減を可能とします。
まとめ
天井裏の点検を人がやるにはかなりの労力が必要となります。OsakaMetroの場合、これまで駅ホームの天井裏のコンクリート構造物を点検する際には、点検用の足場を組み、天井の仕上材を撤去していたそうです。
当然、作業は終電から始発までの間になりますので、時間的な制約であまり広い範囲は調査できないでしょう。どれだけ手間が掛かるかは想像に難くありません。
マイクロ・ドローンを使うことで、それらの作業が必要なくなるということがどれだけ革新的なことか分かります。地下鉄のみならず様々な場所での活躍が見込まれそうですね。