こんにちは。先日政府の方から国内のドローンに事前登録したID(識別番号)の発信を義務付けるという発表がありました。以前からこの登録義務化の改正案は出ており、施行されれば所有者使用者の名前や電話番号、ドローンの製造番号などをオンラインで登録し、発行されたIDを機体に取り付けます。
今回、そこにプラス「IDを発信する」ということも追加されています。つまりドローンにIDを発信するための無線機能を搭載することが義務付けられます。そもそも機体に貼り付けていても上空を飛んでいると識別できないためIDを発信することでどこからでも把握できるようにする為ですね。
この改正案が成立すれば施行は2022年度中とのことです。ちなみにそれまでに購入しているドローンに関しては無線搭載義務の対象にはならないそうです。
さてドローンの需要が拡大している昨今、上記のような法的整備が進む中、ドローンの機体自体の安全面を考えていく上で有用な物が出てきていたのでそちらをご紹介します。
業務を含む大型ドローン向けのプロペラガードのデザインデータが無償公開
こちらはタイトル通り、大型ドローン向けのプロペラガードのデータを一般向けに無償公開したというもので、ドローンの制作や導入コンサル、パイロットアカデミーを運営するサクラボテクノロジーが制作・公開しています。
出典:サクラボテクノロジーズ
データは3D データの共有サイト「Thingiverse」に公開されており、誰でもダウンロードして自由に使うことが可能となっています。
背景
インフラ点検や各種調査、農業や物流など、あらゆる産業に拡大を続けるドローンですが、その需要を支えるために運行管理システムや機体の品質確保が求められています。
現在運用されている軸間1000mm以上の大型ドローンには、プロペラガードが無い形式のものがほとんどのようで、需要が拡大している農業用のドローンについても、100万円以下のドローンのほとんどがプロペラガードが取り付けられていないそうです。
出典:サクラボテクノロジーズ
逆に流通量が多い小型のものやホビー目的のものについてはプロペラガードが供給されている状況です。大型ドローンのプロペラは直径50cmを超えるものもあり、以前より対人対物保護が課題となっていますが、個々のドローンサプライヤーがそれぞれの機体にあったものをゼロから設計するというのは現実的に厳しい状況とのこと。
世界最大の3Dデータ共有サイト「Thingiveerse」で提供中
こうした背景から、同社では大型ドローンでも汎用的に使えるプロペラガードのデザインデータを無償で公開することで、多様なドローンに対応し、ドローン普及および運用に貢献。
出典:Thingiveerse
デザインデータのダウンロード
Thingiverse:https://www.thingiverse.com/thing:4052867
現場では工具不要で付け外しが可能
モーター底部に固定用ベースさえ予め取り付けておけば、以降付け外しは工具不要で数分で作業が完了できる形になっています。取り付けの様子は以下の動画で紹介されています。
金型が不要な設計。ネットでも購入可能
樹脂部品は3Dプリンタを活用することで、高価な金型製作を必要とせず必要な数だけ製作することができます。通常は樹脂製品は金型を使った製作となるため、金型の設計が発生し少量製作には向きません。
出典:サクラボテクノロジーズ
しかし今回のこのプロペラガードは樹脂と市販のカーボン材を組み合わせているだけで、どこでもだれでも製作可能で、プロダクトにありがちなイニシャルコストの発生を抑えています。
機体ごとのカスタマイズも可能
現行のデザインではモーターマウント底部にプロペラガードのベースを取り付け、そこから展開する構造になっています。そのため取り付ける機体のモーターマウントに合わせてデザインデータを修正するだけで多くのドローンにフィットさせることができます。
出典:サクラボテクノロジーズ
3D CADを扱える方であれば容易にデザインが可能。この公開しているデザインはモーターが4つの「クアッドコプター」に合わせられていますが、データを修正することで「ヘキサコプター」や「オクトコプター」形式のドローンにも対応できます。
出典:サクラボテクノロジーズ
まとめ
確かに小型のドローンではプロペラガードもオプションで選択できるものが多くありますが、大型のものとなるとプロペラガードが無いものは少なくない印象はあります。
そのうちプロペラガードの装着が必須になる可能性も無くはないと思いますので、そうなると各メーカーも標準で付けてくるようになる可能性はありますが、それ以前に安全のためにもこういったものを活用するのは大事なことかと思います。
欲を言うと、材料はネットで手軽に購入できるとありますが、DIYするにしても素人ではどれを買えば良いのか加工はどうするのかが分からない、どう手をつけて良いか分からないという人は多いと思いますので、その辺りまで例が明示されているとより行動に移しやすいのではないかと思います。