動画・画像分析を活用したコンクリート全量受入管理システム

sugitec

こんにちは。昨日は全国的に強風が吹き荒れた天候となりましたが、滋賀県大津市にあるマンションの改修工事現場で足場の倒壊事故があったそうです。

近くにいた人が「強風で倒れそうだ」ということで110番をしてくれたそうですが、その直後にマンション前の市道に倒れたとのこと。人がいなかったので怪我人が出なかったのは幸いですが、通行人がいたとすると大惨事は免れません。

強風で現場作業はなく無人状態だったそうですが、今回のような悪天候の日は実際に現場を見に行っておかないと、例え法令通りに備え付けていたとしても過信は禁物ですね。

さて、本日はいつものように土木・建設業界の最新技術リリース記事をお送りしたいと思います。スギテックでの現場作業記事もちょくちょくアップしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

コンクリート・アイ™ でコンクリートの状態・施工管理を見える化

今回ご紹介するのは鹿島建設の技術。コンクリート工事においてアジテータ車から荷卸しされるコンクリートの全量を連続的にモニタリングし、その動画像から施工性の良否をリアルタイム判定するというシステムを開発したそうです。

このシステムにより施工性の悪いコンクリートを確実に排除し、配管閉塞などの施工時トラブルや豆板(ジャンカ)などの初期欠陥を未然に防止することができるようになります。


出典:鹿島建設

また、連続RI水分計と組み合わせることで、強度や耐久性も連続してモニタリングし、少人数で総合的な品質管理とコンクリート構造物の品質確保を実現できるとのこと。

連続RI水分計とは
コンクリートの打設時に配管内を流れるフレッシュコンクリートの単位水量をリアルタイムで測定かつ連続的にモニタリングする機器です。

背景

コンクリート構造物の品質確保のためには、ジャンカや未充填などの初期欠陥が発生するリスクが高いコンクリート(硬くて施工性の悪いコンクリート)を排除することが重要です。

そのためアジテータ車5~35台に1回程度、コンクリートを拭き取り、受け入れ時の管理・検査を行っているのが現状ですが、時間経過などによって施工性が悪くなったコンクリートが検査されずに荷降ろしされる可能性があります。

そんなコンクリートが型枠に打ち込まれると初期欠陥を防ぐことが困難になるため、管理・検査の頻度を増やしたり、専門の監視員を配置したりなどの対策を講じているのが現状のようです。

豆知識:ミキサー車とアジテータ車
この2つは、基本的に回転式ドラムが設置されたコンクリートの運搬に使われる車である「トラックミキサー」というカテゴリに入ります。細かい違いとしては、ミキサー車はドラムの中でコンクリート材料を混ぜて、生コンを作りながら運搬しています。一方アジテータ車は、工場等で作られた生コンを成分が分離しないようにドラムで撹拌しながら現場へ運ぶトラックです。作りながら運ぶのがミキサー、作られたものを運ぶのがアジテータ、です。ただ、昨今では品質基準をクリアできた生コンでなければならない場合がほとんどなので、トラックミキサーはほぼアジテータ車と言えます。

システム概要

今回同社が開発したシステムですが、市販のビデオカメラと分析システムを搭載したパソコン、パトランプやブザーといった簡易なツールで構成されています。


出典:鹿島建設

荷降ろしされるコンクリートの全量を連続的にモニタリング、分析することで施工性の悪いコンクリートを自動的に検知・排除し、所定の施工性を有しているコンクリートだけを受け入れることが可能。

また、クラウド上に分析データを記録しておくことで、施工中のコンクリートの状態をタブレット等でいつでもどこでも確認することが可能です。

  1. アジテータ車のシュートを撮影するビデオカメラと警告を発するパトランプ等を設置
  2. システムを搭載したPCに動画像が送信されるとAIで測定範囲を自動認識
  3. 測定範囲内のコンクリートの性状・状態を分析し、施工性の良否をリアルタイムで判定
  4. 施工性の悪いコンクリートを検知するとパトランプやブザーでアラート発信
  5. 性状判定結果を記録


出典:鹿島建設

まとめ

同社ではこのシステムを既存技術の連続RI水分計と組み合わせ実大施工実験に適用した所、施工性の悪いコンクリートを、さらにRI水分計で強度・耐久性の劣るコンクリートを排除できることが確認できたそうです。このシステムとRI水分計を組み合わせることで、受け入れるコンクリートの全量の性状・品質の連続かつリアルタイム管理、管理・検査の省人・省力化が実現します。


出典:鹿島建設

今後はさらにこのシステムを現場に適用・展開していき、システムのさらなる高速化とブラッシュアップを図っていくとのこと。

コンクリートは混ぜた直後から硬化が始まってしまうので、まさに生もの。時間が掛かりすぎてしまうとどうしてもダマが生じてそれが施工不良の原因になったりします。

そのような硬化によるダマなどの問題は避けられない部分ですが、今回のシステムがあることで、その不良となる要因を取り除くことで欠陥予防ができるのは非常に有用です。システム構成も非常にシンプル。多くの施工現場で活用できるようになると良いですね。

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