こんにちは。先日はヨーロッパはアルバニアで23名の死者を出す地震があった他、日本でも愛知県で地震がありました。
地震大国と言われる日本ですが、地震が会った際に気になるのが構造物が被災することによる劣化進行。老朽化した構造物は勿論ですが新しい構造物でも心配は変わりません。
建物が地震で被災した際には緊急の点検を行ったりしますが、一般的に行う目視点検では緊急の点検時などでは技術者の数が足らない場合があります。
また、構造物の規模が大きくなればなるほど点検に要する時間も掛かります。そんな現状を打破すべく「西松建設」と「東大発無線通信ベンチャー・ソナス株式会社」により開発されたシステムをご紹介。
建物全体をネットワーク化。建設業界の課題を解決する防災・減災ソリューションの実現目指す
西松建設は自社で所有するビルにて実施した「構造物モニタリング」の実証実験において、ソナス社の無線振動計測システムの「sonas x02」の有効性を確認。
sonas x02とは
セイコーエプソン社製高精度デジタル3軸加速度センサに対応した無線振動計測システム。低ノイズ・高分解能・高安定でのセンシングが可能で、地震計測や構造ヘルスモニタリング、環境振動の計測などで高精度での計測が必要とされる用途に適している。
この計測システムに、ソナス社が独自に開発したマルチホップ型LPWA(広範囲・低電力の無線)の「UNISONet Leap(ユニゾネットリープ)」を搭載。
出典:西松建設
この無線は主要なLPWAと比較して高速かつ安定した通信が可能で、高精度な振動計測データをロスなく収集することが可能。これによって複数フロアを1ホップで跨いで、マルチホップで建物全体をネットワーク化するという、世界に先駆けた構造物モニタリングの事例が誕生したことになります。
実証実験の経緯
建設業界では、構造物の老朽化や技術者不足の課題を抱えています。構造物の点検は、一般的に技術者の目視判断により行われていますが、それには多大なコストや時間を要します。
大地震の際は多数の構造物が被災することに加え、技術者もまた被災することが予想され、構造物の健全性判断に時間がかかると考えられています。更に被災した構造物が超高層の建物等の大規模な構造物の場合には、点検に数ヶ月を要することもあります。
出典:西松建設
これら課題の解決のため、振動センサを設置することで構造物の健全性などの状態を確認する構造物モニタリングが注目されています。
官公庁などの防災拠点となる重要度の高い建物では、振動センサの設置が推奨されていますが、一般的な計測システムではデータ転送や電源供給には有線が用いられるのが主流で配線工事が必要になる問題があります。
そこで西松建設は無線での構造物モニタリングに着目。「sonas x02」を採用した実証実験に至ります。
概要
同社所有の鉄骨造8階建て事務所ビルの1階~3階の各フロアおよび8階に「soanas x02」のセンサユニット(子機)を設置。
各センサユニットで計測した振動データを地下1階のベースユニット(親機)へ収集し、クラウドで遠隔モニタリングできるようになっています。
こちらの建物には有線のセンサも設置されており、地震後には無線・有線それぞれの振動データの比較検証が行えます。
出典:西松建設
まとめ
この「sonas x02」で計測したという画面を見たかったのですが、残念ながらプレスには掲載されていませんでした。地震等の災害が起きた場合、特に防災拠点になる施設では早い段階で建物の健全性を判断する必要性があります。
無線による構造物モニタリングは、設置が容易でコストも大幅に削減できるため、構造物の老朽化や点検技術者の不足に悩む建設業界において新たな防災・減災の手段として注目されており、今後の建設業界には必須となりそうです。