こんにちは。建設業界において、3DデータのひとつであるBIM(Building Information Modeling)の活用が活発になってきていますが、実際多くの企業でどれくらい活用されているのでしょうか?
以下は約3年前の調査データになりますが、活用している企業は活用していますが、逆に全く活用していないという企業もまだまだ多くあり、2分化しているのが現状です。
出典:BUILT
BIMのメリットとしては、属性情報を持っているので各種平面図や立面図を切り出せたり、BIMから作成した図面は連動性があることから整合性を保てる、また視覚的に理解しやすいといった部分があげられます。設計ミスや手戻りが起きにくいというのも大きなメリットのひとつでしょう。
しかし一方で、これまでの作業フローが全く異なるものに変化するというギャップもあり、人材的な部分での体制を整えるのが難しいというのが、中小企業では主な導入の進んでいない原因と言えそうです。
また、国交省の調査では現状の課題として「設計」「施工」「維持・管理」の各分野でおいて個別活用するに留まっており、BIMのメリットである情報の一貫性が確保できていない状況でもあるようです。やはり上流を中心に業界全体として推進していく動きや、環境整備していくのは必須と言えます。
そんなBIMですが、現在活用している企業においても迅速なプロジェクト進行のためにBIMオブジェクトの拡充が課題となっています。BIMオブジェクトが多くあることで、より業務の省力化が図れますが、そのオブジェクト拡充を加速すべく大林組がBIMオブジェクトのプラットフォーム「Arch-LOG」を運営する丸紅アークログとアライアンスを締結したとのこと。
出典:大林組
強固なプラットフォームで活用を加速
この「Arch-LOG」ですが、業界に関わる様々な人々の利便性や業務効率の向上を担う、無料のワンストップサービス。利用することで得られる各社のメリットは以下。
建材メーカー
・商品、案件毎の採用傾向や閲覧傾向などのデータ取得。
・WEBカタログの代替。
・廃盤情報など管理、最適化。
・業務の効率化
ユーザー(建設会社・設計会社)
・フォトリアルCGによる施主とのイメージ共有。
・リアルタイムレンダリングによる意思決定迅速化。
・過去案件の建材仕様一括管理。
・業務効率化、経費削減。
施主
・プロジェクトの透明性。
・プロジェクトの高効率化、最適化。
・プロジェクトスケジュールの短縮。
・的確で素早い意思決定。
Arch-LOGの主な機能
BIMオブジェクトの総合検索機能
建材メーカー名や製品名、建材の種類など、キーワードで検索するだけで建材のBIMオブジェクトが無料でダウンロード可能。そこからカタログやサンプルなどをメーカーにリクエスト可能。
ユーザーアカウント登録をすればプロジェクト登録ができ、案件ごとの建材管理に利用できるほか、建材メーカーが製品を廃盤にするとその情報も反映し、常に最新カタログを検索可能。
リアルタイムレンダリング機能
BIMソフトである「Revit」「ArchiCAD」等、ソフト内でArch-LOG検索を利用できるプラグインとフォトリアルなレンダリングを実現するレンダープラグインを無料で利用可能。
出典:大林組
BIMオブジェクトを設計図書にダウンロードすれば高精細なモックアップ画像を数秒で生成。CG画像はスマートフォンなどでリアルタイムに共有し、複数人が画面に指摘を書き込む共同作業も可能に。
また。輝度・照度のシミュレーションやVR画像などリアルタイムに生成できる機能も実装されている。
出典:大林組
BIMの活用においてオブジェクトの整備は急務
これら高機能なプラットフォームである「Arch-LOG」ですが、オブジェクトの整備が重要であることは言うまでもありません。
設計から施工までBIMを一貫して利用するには、モデルの詳細度に応じた適切なBIMオブジェクトの拡充がプロジェクト進行の鍵となります。
これまで大林組では、様々なBIMオブジェクトの整備を行ってきたそうですが、今後設計者や施工者だけでなく建材メーカーや什器メーカーなどでも利用され、領域が拡大していく中で、同社のみで整備していくのは限界があります。
日々増大していくBIMオブジェクトを集約し管理するプラットフォームの構築が課題となっていましたが、そこで今回の丸紅アークログとのアライアンス締結です。
出典:大林組
同社がアークログのプラットフォームを活用し、また建材メーカーや機器メーカーに協力依頼をすることで、「Arch-LOG」にはオブジェクトデータが蓄積され整備されていきます。
この流れによって「Arch-LOG」プラットフォームはより強固となり、BIMを活用する企業にとっては業務の効率化に大きな力となるでしょう。
まとめ
働き方改革やICTが推進されている昨今、各社の協力で生産性を上げていくことが重要であることから、後にBIMを活用していく企業のために、今回のような有用なプラットフォームが整備されているというのは非常にありがたいことですね。