こんにちは。土木や建築工事において、地形や土量を把握する「測量」は日常的に行われています。一般的には測量業務では、TS(トータルステーション)や巻き尺などを使って測定します。
その測量業務を効率化するソリューション「スマホdeサーベイ」というアプリを、2018年に大林組と株式会社エム・ソフトが共同で開発したという話題を以前にご紹介しました。
「スマホdeサーベイ」というその名前の通り、このアプリはスマートフォンのみで作業ができるもので、スマートフォンのみで点群の3次元地形データを取得できるというもの。
出典:エム・ソフト
その「スマホdeサーベイ」ですが、この度さらに進化し、なんと「AR」に対応するようになったということで、一体どういったものなのかをご紹介したいと思います。
専用スマートフォンは必要無し
従来版の「スマホdeサーベイ」は、それ専用のスマートフォンが必要となっていました。具体的には赤外線深度センサー(Depthカメラ)を搭載した機種しか使えません。
しかしAR版の「スマホdeサーベイ」では、施工現場でも広く普及しているiPhoneやiPadを使うことが可能になり、利便性が向上しています。
ちなみにiPhone・iPadの場合、対応している機種の範囲としては「iPhone6s以降、iPadは第5世代以降の端末で、尚且iOSが12.0以降のものとなります。
AR機能を使って対象物を認識
上記の通り、従来版のものでは赤外線深度センサーが搭載されたスマートフォンで、対象物を三次元点群データとして捉えていました。
今回新しくなったAR版では、iPhoneなどに搭載されているAR機能を使って対象物を認識できる仕様に変更されています。
画面上で測量の範囲を指定するだけで地形や土量を把握できるので、トータルステーションや巻き尺を使った従来の作業方法に比べて、測量にかかる時間を短縮し測量業務を大幅に省力化できます。
AR版の特長
1.1人で簡単に地形を測量
出典:大林組
従来のトータルステーションを用いた測量では、トータルステーションを操作する側とプリズムを持つ側、2人の設計者が断面図作成に必要な座標データを取得していました。
「スマホdeサーベイAR版」では、1人の計測者が画面上で地形の変化点ごとに仮想ポールを立てながら歩くだけで、ポール同士が線で結ばれ、その位置での断面図が作成されます。
出典:大林組
断面図は画像データとして保存されるため、関係者にメールで送付することも可能。
2.盛土量や堀削土量を即座に算出
従来のトータルステーションでの測量では、測量結果をパソコンで図化し計算することで土量を算出していましたが、「スマホdeサーベイAR版」では、画面上に上面4点、下面4点の合計8点の仮想ポールを立てて測量範囲を指定することで、その場で最大1,000㎡の範囲の土量の計測が可能。
出典:大林組
土量計算も自動で行われるため、測量から土量算出までに要する時間を、従来の方法から90%以上短縮ができます。高精度で計測できるレーザースキャナとの精度比較実験で、誤差3~5%という結果が確認されたそうです。
また、計測結果と写真を合成することで、計測箇所をひと目で把握することも可能とのこと。
主な使い方
1.測量タイプを3タイプから選択
出典:エム・ソフト
2.仮想ポールで計測範囲を指定
対象となる計測範囲に、ARで仮想ポールを設置。
出典:エム・ソフト
3.計測結果を表示
その場ですぐに測定結果が確認できます。また、合成写真と合わせてメール送信も可能。
出典:エム・ソフト
まとめ
この「スマホdeサーベイAR版」ですが、今後は大林組の社内標準アプリとして土木・建築工事に導入し、測量の効率化を図っていくそうです。
アプリはエム・ソフトより、すでにAppStoreにて一般向け販売が開始されています。
お値段は4,900円。月額課金制でなく買い切り。従来の測量から土量算出までの方法と比較して90%以上短縮できることを考えると、この値段は安すぎるくらいではないでしょうか?どんなものか試しに買ってみたいくらい安いです。
日常的に測量業務を行っている方は、検討の価値は大いにありでしょう。
◆スマホdeサーベイ App Store:https://apps.apple.com/jp/app/id1480348273?mt=8
◆このアプリに関するお問い合わせ:株式会社エム・ソフト
◆お問い合わせ先
TEL:03-5812-4440