こんにちは。様々な分野で活用の進むAIですが、AIが搭載されるアプリケーションの中でも音声認識が活用されているものも多く開発されています。
音声認識とは、人の声を分析し命じられたことを実行したり、音声を文字に置き換えたり、中には人の感情まで把握するものも。今回はそんな音声認識を使った建設現場向けの製品をご紹介。
製品は「株式会社ロゼッタ」と「飛島建設株式会社」が共同開発するハンズフリーシステム「T-4PO Construction(仮名)」。
まずは建設現場対応を足掛かりとして開発
このハンズフリーシステムは、現在製品化に向けて開発中であり、開発するアプリケーションんは、遠隔地からの情報共有を可能にするハンズフリーアプリケーション、現場におけるデータ取得アプリケーションとなる。
さらには同時自動通訳機能を付加し、生産性の向上を図れる多機能なハンズフリーシステムの構築を目指している。
背景にはコミュニケーションの重要性という課題
昨今では広い産業においてのグローバル化にともない外国人との交流機会は増加しており、あらゆる産業でコミュニケーションツールの開発や整備は喫緊の課題となっている。
建設業界においても外国人技術者等とのコミュニケーションは重要性が高い。しかし、言語の違いが壁になり、建設現場で専門性の高い業務内容の共有や、状況に応じ臨機応変に対応するということに支障になっているのが現状だ。
ハンズフリーシステム開発の目的
ハンズフリーシステムを開発することで業務の効率化は勿論、音声通訳システムを搭載することで、外国人技術者とのコミュニケーションも可能となる。
出典:日本システムウエア
システムに活用されるデバイスは産業用スマートグラスの「HMT-1」(日本システムウエア)。ハンズフリーの実現とネットワークシステムで遠隔地の技術者とのタイムリーな情報共有を可能にし、LOG・音声・テキスト・画像などのデータを蓄積することもできる。
出典:Japan – Introducing the RealWear HMT-1
それらデータを蓄積することで、建設現場の管理記録作成の簡素化など「働き方改革」の推進にも繋がる。
さらに、外国人とのコミュニケーションを可能にするため、一般的な会話の他に建設技術に関する専門用語や、建設業界特有の単語などを網羅した、ロゼッタグループの通訳システムを搭載する。
システム概要
出典:ロゼッタ
1.画面共有機能
「HMT-1」を装着している者同士だけではなく、現場事務所や事業者会社などの遠隔地になる場所の者とも、音声や画像、図面、動画を容易に共有することができる。
遠隔地にいる監理者などがリアルタイムに指示を出すことができ、スピーディーかつ正確な問題解決を図ることが可能だ。今後はBIMやCIMとも連携させることで、より詳細な3D画像を共有し、生産性向上を図る。
2.データの保存
技術者が「HMT-1」を装着することで、話した内容に紐付けた音声や画像情報を保存することができ、取得した情報はサーバー上に保存。事務所での書類整理や作成の簡素化へと繋がる。
建設現場ではWEBカメラによる定点観測が行われているが、工事の進捗により盛替えや増設を何度も行う必要がある。しかし「HMT-1」を活用することで、これまで撮影のできなかった動画記録を取得することが可能になり、WEBカメラの増設作業等を削減することができる。
作業員がカメラを備えていることで、工事の施工記録を残すことができるだけでなく、ヒヤリハットやトラブル発生時の画像データも取得できることで、これまで明確になっていなかったヒヤリハットやトラブルの原因究明にも活用可能。
安全性の面でも有効活用ができるようになる。
3.通訳機能付きSpeech to text
音声をリアルタイムに通訳し結果を画面上に表示することで、異なる言語の技術者同士でも円滑なコミュニケーションを図ることが可能に。また、通常の会話だけでなく業界特有の用語なども網羅した通訳を可能にしている。
相手が「HMT-1」を持っていない場合でも、手持ちのスマートフォンやタブレットで同様のコミュニケーションをとることができるようになっている。
まとめ
今年の4月に改正出入国管理法が施行され、在留資格である特定技能ができました。この改正で建設業界には今後の5年で最大4万人の外国人労働者が入職してくるとも言われています。
人材不足が大きな問題になっている中、この改正が大きな力となるのか?ともあれ、入職者が増加した際には今回のソリューションは大いに力になりそうですね。
お互いがいきなり母国語以外を話せるようにはなりませんし、コミュニケーションを取る上で今回のようなリアルタイム翻訳技術はなくてはならないものです。
また、外国人とのコミュニケーションを可能にしているだけでなく、現場の作業者の視点での動画記録などを取得することで、安全面にまで活用できるようになっているのは素晴らしいですね。
WEBカメラでの視点だけでなく、現場内で本人がどう見てどう動いていたかという視点があるというのは、原因究明に大いに役立ちそうです。
このハンズフリーシステムですが、19年12月から20年4月まで商品化開発され、20年5月には販売が開始される予定とのこと。
記事参考:ロゼッタ株式会社「ロゼッタと飛島建設、建設業向け多機能ハンズフリーシステム共同開発開始のお知らせ」
製品に関するお問い合わせ
ロゼッタ株式会社
TEL:03-6685-9570