こんにちは。雨続きですね。比較的気温が落ちて過ごしやすくはある物の、外での現場仕事のある業種にとっては予定通りに進まずやきもきする所も出てきますね。気分的にもスッキリと晴れて欲しいものです。
さて、本日は大日本印刷株式会社が、株式会社エー・アンド・ユーと株式会社新建築社との共同で、雑誌の誌面レイアウトをAIで自動生成することを可能にした技術をご紹介。
とうとうAIがデザインをこなす時代がきましたか!?
雑誌原稿となる画像とテキストを入力→AIが自動生成
この技術ですが、原稿の材料となるテキストと画像を入力することで誌面のレイアウトをAIが自動生成します。これまで編集者が時間をかけて検討していた部分がある程度自動化されます。
この技術の凄いところは、単純に材料であるテキストと画像を並べる、というのではなく、テキストの内容やその雑誌の持っているブランドイメージに合うようにレイアウトされるところです。
出典:大日本印刷
それぞれ雑誌の持つイメージを守れなければ意味がありませんので、そこをAIが内容を理解してできるようになっているというのがポイントです。
テキストと画像をただキレイだったり格好良くレイアウトするだけでは、意図するイメージを伝えることはできないですもんね。
デザインに理解の少ない人がやってしまうやつだな。
開発の背景
雑誌の編集作業は、編集者などが記事の内容や文字数、画像のサイズまでを検討して、毎号ごとに新しいページレイアウトの制作作業をおこなっています。
それぞれの雑誌固有の「らしさ」を出すためには、各雑誌のデザインポリシーやブランドイメージに合致したレイアウトにすることが何より重要。
その制作のノウハウや暗黙知を複数の編集者で共有し、継承していく必要があります。そして伝統の維持だけでなく、今までにない新しい誌面の追求も重要です。
これら要望に対し大日本印刷は、多様な印刷物の制作と製造で培ってきた画像処理や自然言語処理、データ解析などの技術と最新のAIを掛け合わせることで、「雑誌らしさ」に合致した複数のレイアウトを自動で生成、提示できる技術を開発。
レイアウト自動生成技術の特長
1.雑誌の特長に合ったレイアウトを自動生成し創造的な編集制作と業務効率化を実現
大日本印刷は雑誌「a+u」の過去15年分の誌面データをAIに学習させることで、その「雑誌らしさ」をスコア化するモデルを開発。これを活用しテキストと画像データを入力することで、雑誌のブランドイメージに合った誌面レイアウトが自動的に提示されます。
その提示モデルのレイアウトを参考に、各担当者が活発な議論を行うことで、新しいアイデアが引き出され誌面の質向上に繋がります。またこの技術により編集者が毎回レイアウトを1から検討する必要がなくなり、業務改善にも繋がります。
あくまでブラッシュアップのためのタタキ台ですね。1から作るより遥かに効率が良さそうです。
2.自由度の高いレイアウトにも対応可能
この技術は写真の配置や文字組みなどは非定型で、自由度の高いレイアウトにも対応します。テンプレートに画像や文章を流し込むものとは根本的に異なり、高度な誌面が重視される雑誌にも多様なレイアウトが生成可能です。
テンプレート、いわゆる雛形に流し込むだけではいずれ限界がくる。新たに構築する部分をまずAIが考えてくれるのは助かるだろう。
3.AIが雑誌のデザインイメージを数値化し、より良いレイアウトを提示
蓄積した雑誌レイアウトのデータから、その「雑誌らしさ」をスコア化し、AIがどの部分に着目したのかを色「ヒートマップ」で提示。
それを客観的指標として活用することで、製作者間のコミュニケーションを促し「雑誌らしさ」の共有が図れます。
レイアウトデザインを数値化して評価してしまうのはAIならではですね。数値化して見える化を行うことは作業者にとっては楽になりそうです。
出典:大日本印刷
まとめ
この技術ですが、今月7月27日発売の建築雑誌「a+u」(エー・アンド・ユー)8月号のレイアウト制作の一部に活用されているそうです。気になる方は「a+u 8月号」をチェックしてみてはいかがでしょうか?
今回ご紹介した3社では、この技術を「a+u」の編集に本格活用し、また今後は雑誌や書籍に限らずパンフレットやカタログ、広告などへの利用も想定したAIを活用した出版・編集支援サービスの構築を目指しているとのこと。
レイアウトやデザインって暗黙知があるので継承が難しい部分がありますが、これは良いですね。
そうだな。ひとつひとつ理論の説明はできるがそれらを統合して一つのデザインにしなければいけない。その部分をAIが受け持つことで即座にブラッシュアップの議論をしていけるのは大きな効率化になりそうだ。