こんにちは。ようやく今週あたりから気温も上がってきて春らしい日も増えてきそうです。朝晩の冷え込みにだけは気をつけましょう。
先週ご紹介した京王電鉄下北沢のAIロボット入社式ですが、やはりニュースになっていましたね。名前は下北沢レイだそうです。お客さんとの会話でどんどん精度が上がっていくようで、これから駅に限らずこういった案内ロボが活躍する場所も増えてくるかもしれません。
さて、本日は前田建設工業が株式会社タダノと千葉大学との共同で開発した、パソコン上での4D施工シミュレーションの動きに連動してクレーンを自動運転する技術の実証試験を実施したという話題。
自動運転で鉄骨架構の梁と床スラブを設置
建設施工の飛躍的な生産性向上を目指し様々な自動化技術の開発を進める前田建設が、移動式クレーンで国内の最大シェアを占めている株式会社タダノと、千葉大学工学研究科とともに開発した自動操作技術。
出典:前田建設
この技術は前田建設が独自に製作した4D施工シミュレーションを用いて、パソコン内で構築した建設機械の動きを実際の建築機械と通信することで、その動きの指示を行い自動操作するというもの。
実際の作業の確認ということでパソコン内でシミュレーションを行うことはよくありますが、シミュレーション内容がそのまま現実の実機に反映するという、まるでリアルなゲームのような画期的なシステムですね。
4D施工シミュレーション
今回のシミュレーションの試験体は、ICIラボの屋外フィールドに設置された1層、1×2スパンの実寸大の鉄骨架構で今回検証したのは梁と床スラブの自動敷込みとなります。
ICIラボとは
ICIラボという単語が出てきましたが、ICIラボとは前田建設が次世代技術の研究・開発を担う実験施設で、ベンチャー企業に「場・知・資金」を提供し、革新的技術や新ビジネスの実現を目指す場、です。
革新的事業を目指すベンチャーとの連携や、ベンチャー自身が成長するための「協創のための開かれたプラットフォーム」として様々な機能を有する施設です。
ICIラボ:https://www.ici-center.jp/
このICIラボで行われた自動敷込みですが、クレーンの自動操作は4D施工シミュレーションに従い、部材ヤード上にクレーンブームが旋回し、フックの近傍に取り付けられたカメラで部材に付けられた部材記号をAIの画像認識により識別。
識別されたつり治具をフックが自動的につかみます。フックの荷重計により重荷がかかっていることを確認し巻き上げ、架構の所定位置まで移動。
出典:前田建設
吊り荷の回転はジャイロ機構によって遠隔操作で制御。また、吊り荷の位置は逐次カメラにより計測され、クレーンの動きを補正します。
床スラブの落とし込みのみで済み、鉄筋工事は不要に
床スラブは合成デッキスラブを用いることで、従来は上下2段必要だったスラブ配筋を上端の1段配筋にすることで、X、Yの2方向のスラブ筋があっても床スラブを落とし込むだけで、その後の鉄筋工事が不要になります。
出典:前田建設
床スラブ同士の隙間は高流動モルタルを流し込み一体化。梁、床スラブにはクレーン部材を落とし込むことで所定の位置に正確に設置される独自のガイド機構が取り付けられているそうです。
まとめ
こういったBIMなどの3次元モデルを使って施工のシミュレーションをしたり、遠隔地からの重機の操作などをする技術も年々進化してきていますね。
この自動組み立ての実証試験も無事に成功していることから、実際の現場での活用もそう遠くないうちに行われるのではないでしょうか。
建設の自動施工でのメリットは効率化もありますが、なにより安全に施工ができるというのは大きいです。今でこそ年間の労働災害での死亡者は1,000人を切りましたが、それでもH29年は978人もの死亡者が出ています(その中でも建設業は最も多い323人)。
安全性と効率化を両立できる自動施工技術の普及は急務ですね。