こんにちは。天気の回復も束の間、また本日夕方辺りから明日にかけて雨の予報となっています。雨の上がった週末は4月上旬並の気温に上がるとのことなので、急な気温変化で体調を崩さないよう気をつけましょう。
さて、本日は自動車の運転中、ドライバーの走行中の車両データよりヒヤリ・ハット状態の検出を行うというAIモデルが開発されたという話題。ヒヤリ・ハットを検出とはいったいどういうものなんでしょうか?
蓄積されたデータからヒヤリ・ハット状態を定義、学習
このAIシステムの開発は、ディープラーニングを活用したAIの社会実装事業を展開している株式会社ABEJAと株式会社日立物流との共同によるものです。
出典:日立物流
もともと日立物流の方で以前より開発している「SSCV(スマート安全運行管理システム)」というドライバーの労働負担の軽減やリアルタイムでの運転状況を把握できるシステムがあります。
スマート安全運行管理システム(SSCV)とは
運行前の生体測定情報、および運行中の車載センシング機器からの危険シグナルや生体情報のすべてをクラウドに集約し、AIによる分析で事故やヒヤリハットに影響を与える状況を判断。リアルタイムにドライバーに警告を発信し事故を未然に防ぎます。
そのSSCVシステム上に蓄積されたデータから、ヒヤリ・ハット状態の定義・学習をするAIモデルを開発しており、開発されたAIモデルはSSCVに連携しSSCV上の機能として提供されます(提供予定は4月)。
出典:日立物流
背景
現在多くの業界でもそうですが深刻な人手不足が続いています。特に物流業界に関しては全産業の平均以上のペースでドライバーの高年齢化が進んでいます。今後も高齢者の退職を契機とし、さらなる人手不足問題が深刻化するのは間違いないでしょう。
出典:日立物流
そして近年の事故の増加。これはドライバーの健康状態に起因する事故が増加しているということで、事故原因のほとんどは漫然運転によるものだそうです。高齢化と労働環境からくる必然的な結果と言えるかもしれません…
ドライバーの体調のサポートや事故防止の仕組みづくり、そして労働環境の改善は大きな社会的意義を持ちます。
SSCV活用の流れ
ドライバーの運転する車には様々な車載センシング機器が搭載されており、それらが生体反応やヒヤリハットを検出。その情報はクラウド上に保存され、事務所側にリアルタイムでその情報が伝わります。事務所側からはその情報をもとに、ドライバーへ向けてタイムリーな注意喚起をおこなうことができるようになっています。
出典:日立物流
まとめ
このSSCVですが、過去に半年経たない間に前方不注意の衝突事故が相次いで発生したことが開発の発端。ドライブレコーダーの記録からはブレーキを踏む様子もなかったところから、乗務員にヒアリングしたところ運転中の考え事や、慢性疲労状態にあったことが分かったそうです。
運転前の体調や点呼などは徹底していたもののそれだけでは抜本的な解決にはならず、あらゆる機器を試したうえで現在の生体情報の計測や衝突防止補助システムを取り入れることで事故の防止に繋げています。
今後は事故防止の安全品質向上のみならず、SSCVの導入で保険料そのものが軽減されるプランの創設も保険会社と協議するとのこと。さらにはパートナー企業や同業他社など業界全体がメリットを享受できるサービスとして育てていく計画のようです。
人間が運転している以上、いくら気をつけようとも事故は起こりえます。システムがあることで管理者が注意喚起などで介入ができるのは事故防止には効果的ですね。
それでも例えば管理者からの注意喚起で休憩するように要請があったとしても、その要請を受け入れなければ全く意味がありません。「休憩するように」と言われたけど休憩してたら間に合わないとそのまま運転してしまう状況、そしてそれを黙認する状況は考えられます。
そういう時に限って事故が起きたりするものです。まずは日々の業務内容も無理のないようコントロールする必要があるのは間違いないでしょう。