こんにちは。本日、日経xTECHにて雨漏りの修理に失敗し訴訟問題になったという事例が取り上げられていました。大阪府内の中古戸建にて購入後から雨漏りに悩まされていた居住者が雨漏り修理を依頼。
工事会社が4ヶ月かけて修理したが雨漏りが止まることはなく、憤慨した居住者が損害賠償を求め工事会社を提訴したそうです。一級建築士の代理人の報告書では、リフォーム前の外壁はモルタル仕上げの直張り工法。
発覚した問題は2つあり、1つは本来下地合板の屋外側に入るべきサッシのツバが下地合板の室内側に入っていたこと。もう1つは、サッシと外壁の取り合い部にシーリング材が充填されておらず防水テープのみだったそうです。
防水テープのみで水の侵入を防ぐことは困難ですね。テープに1点でもシワや隙間があればそこから毛細管現象で簡単に水は侵入してしまいます。
工事会社の意図的な施工なのか、意図的ではない技術力不足なのか不可抗力なのか。意図的なら明らかな手抜き工事ですし、こういった場合は工事会社の見極めが重要ですね…中々難しいですが。
さて、本日は度々出てくる建設現場でのロボットですが、柱全集と梁の溶接を自動化する溶接ロボットが本格的に適用されたというニュースがありましたのでそちらをご紹介。
柱全周と梁の上向溶接をおこなうロボット
現場で働くロボットといえば清水建設さんのロボット軍団が有名ですが、今回は鹿島さんのものになります。鹿島さんは鹿島スマート生産ビジョンという建築の生産プロセスを変革し、生産性向上を目指すコンセプトを策定されています。
出典:鹿島建設
その中の「作業の半分はロボット」というコアコンセプトの1つとして溶接ロボットも実証を進められていました。今回の溶接ロボットは新築現場である鹿島伏見ビルにて、柱の全周溶接と梁の上向溶接に適用。
溶接ロボット10台と直傭オペレーター8名によって、柱10箇所と梁585箇所の溶接作業を安全に高品質に完了することができたようです。
ロボット溶接作業
梁仕口部の下フランジ溶接については、全箇所を溶接ロボットにより施工。従来の人による下フランジの溶接は上方からの下向溶接でしたが、梁のウェブなどの支障物があるため、作業に時間がかかっていたそうです。
出典:鹿島建設
今回の溶接ロボットを活用することで、人では不可能であった下方からの上向溶接で作業をおこなうことが可能になり、ウェブやボルトなどの支障物もなく直線的な溶接が可能になっています。また、スカラップも不要となり品質や性能が大幅に向上。
その他のメリットとしては、下フランジを上方から溶接するため、邪魔になるということで後回しにしていた上階の床施工を、下方からの上向き溶接になることで後回しにする必要がなくなり、鉄骨建方工程の短縮が実現。
出典:鹿島建設
また、溶接工程が床施工や次節の鉄骨建方といった他の工程に左右されなくなり、溶接作業量の平準化が図れる他、下フランジの溶接を下階の床施工後に行うことができ、従来の吊り足場ではなく高所作業者を用いた作業が可能になるなど、作業員の安全性に関しても飛躍的な向上が実現します。
まとめ
今後の展開として溶接技能者の確保が難しくなることが予想される中、鹿島グループでは人材の確保と溶接ロボット技術や施工ノウハウの共有による高品質な溶接を可能にしていくとのこと。
建設業界では人材不足問題は深刻です。熟練技術者のノウハウの継承も急務ですし、それを助けるこういったロボット技術などのソリューションの実用化も急務です。
こうしたソリューションを実際に現場で活用することにより、蓄積されていく経験知見はさらなるソリューションの開発に繋がっていきますので、走りながら改善していくスタイルは大事ですね。