こんにちは。今週で1月も終わり来週週明けから暦は立春となります。が徐々に暖かくなることもなく、逆に寒さのピークがくるということです。インフルエンザも流行っていますし引き続き体調管理には気をつけていきましょう。
本日はBIM(Building Information Modeling)とセンサー情報を活用したクレーンシステムの話題。大林組の開発したシステムで、クレーンの状況をリアルタイム表示しオペレーターを支援することで、安全かつ効率的なクレーン操作を実現します。
クレーン操作を支援するマシンガイダンスシステム
このシステムですが、BIMデータを用いて建設現場を3次元で再現。クレーンも3次元モデルで再現されているので構造物との位置関係などが一目瞭然です。
出典:大林組
このマシンガイダンスシステムは、3次元モデルを利用することでオペレーターが任意の視点からクレーンの状況を確認でき、死角がある場合にも目視同等の判断を可能としています。
加えて揚重部材を取り付け位置まで安全に運搬するため、必要な操作量をガイダンスする機能も備えているとのこと。
開発背景
現場の揚重作業ではクレーンオペレーターは、クレーン同士の衝突や構造物との接触、重要無線通信の電波伝搬路妨害や航空法による高さ制限、敷地境界線からの越境などに最新の注意を払っています。
これら従来の作業範囲規制装置にも、作業禁止範囲への接近をオペレーターに警告する機能があるそうですが、オペレーターの確認する画面で表示されるのは2次元の情報。そのために高さを把握しにくいという課題がありました。
その他オペレーターの経験が浅い場合、死角や悪天候で視界が悪い場合にはオペレーターと作業員との無線連絡の頻度を増やす必要があり、条件によって作業を中止せざる得ないために作業効率低下を招いていたそうです。
近年の製造業では「CPS(サーバーフィジカルシステム)」という機械から取得したセンサー情報をネットワークを介して収集し、仮想空間で分析などをおこなって得られた情報を現実世界に反映させるという取り組みがあり、製造業ではものづくりを進化させる動きが活発になっています。
このマシンガイダンスシステムでもその概念を取り入れ、3次元モデルで現場を再現した仮想空間と実際のクレーンの動きを融合させることで情報化施工を実現されています。
システム特長
出典:大林組
1.クレーンの動きと建設現場の情報を3次元で表示することで安全性が大幅に向上
無線センサーから取得したクレーンの動きを現場を再現した3次元モデル上で融合し、操作室内のタッチパネルに表示。BIMを活用した3次元モデルにより、施工対象や周囲の構造物だけでなく、目に見えない電波伝送路や航空法による高さ制限や敷地境界線なども可視化します。
出典:大林組
2.オペレーターの経験に関係なく効率的で正確な作業が可能に
経験の浅いオペレーターでも画面に表示される操作量を参考に操作できるので、運搬位置を指示する無線連絡の頻度が低減し、安全に効率よく作業ができます。
熟練のオペレーターでなくても作業範囲が制限された建設現場での作業が容易となるため、オペレーター不足にも有効なシステムとなっています。
出典:大林組
3.クレーンの機種を選ばず容易に取り付け可能
従来の作業範囲規制装置では、クレーンごとの専用設計で他のクレーンへの転用は難しいうえに、大型なため取付作業にも労力がかかっていました。今回のシステムでは情報取得のセンサーをユニット化し、クレーンの機種を問わず容易に後付けできるように設計されています。
まとめ
大林組ではこのシステムを積極利用することで、クレーン作業の安全性と生産性を高めるとともに、熟練オペレーター不足問題にも対応していくとのこと。
さらにこのシステムをベースに、AI・IoT及びロボティクス技術のさらなる研究開発を進め、クレーンの自動運転を実現し、労働力不足の解消に向けた省力化/省人化を図っていくそうです。
BIMデータで現場を忠実に3次元化する他、航空法の高さ制限や境界線などの目に見えない情報も可視化されるので、オペレーターにとってこれ以上に安心なことはありません。
しかも作業に関しても操作量が数値化されることで、経験の浅い深い関係なく作業ができるのも今の時代に求められるものですね。