こんにちは。昨日、国交省がドローンの操縦に関して飲酒をしている場合の操縦を禁止するという方向で、航空法の改正を検討しているというニュースがありました。確かに現在の航空法ではドローンの飲酒操縦に関しての規定はありません。
現在の航空法第70条(酒精飲料等)では「航空機搭乗員は、酒精飲料又は麻酔剤その他の薬品の影響により航空機の正常な運行ができないおそれのある間は、その航空業務を行つてはならない。」とあります。
しかしこれは飲酒をしていても個人の判断で問題ないような内容で、基本的に各航空会社の規制に任せている形。ドローンも基本はこれと同様の規制を図るものと思われています。
そうなると各ドローンメーカーや販売店で規制策定される流れになるのでしょうか。航空法自体このままでは問題ありでしょう。飛行機と違い個人レベルにまで波及していくものなので、改正後の道路交通法のように厳しく取り締まっていく必要はあると思います。
さて、本日はそんなドローンとAIを活用した「マグロ養殖の基地化」を目指したという実証実験の話題。
マグロ養殖漁業者の負担軽減、作業効率化を実現
この度、長崎大学大学院工学研究所、システムファイブ株式会社、KDDI、長崎県五島市の共同で、五島市での「マグロ養殖の基地化」を目的としたIoTシステムの実証実験に成功したとのこと。
この実証実験の主な焦点は、マグロの養殖における赤潮対策です。クロマグロは他の魚種に比べて赤潮に対する脆弱性が約10倍も高いそうで、死滅を防止するためには赤潮の早期検知が非常に重要です。
出典:KDDI
クロマグロの養殖に取り組む五島市では、これまで船で海域をパトロールし赤潮の発生状況を目視で確認したり、行政による固定センサーを活用した計測や、採水した海水を顕微鏡を通じて見る「検鏡」という方法で計測していました。
しかしその方法では簡易的な計測しかできず、赤潮への迅速な対応という部分で精度や時間的にも困難なものになっているという課題がありました。
実験内容と結果
まず課題として「検知のタイムラグ」。既存方法では海水採水から赤潮の発生検知、漁業者への通知までに要する時間は約12時間で、これではリアルタイムの対策が困難なため、赤潮被害は甚大なものになっています。
この実験ではドローンとAIを活用し、多地点・多深度採水、ディープラーニングを用いた画像解析によるプランクトンの判別、ドローンでの空中からの赤潮分布状況の把握、そしてクラウド経由での漁業者への赤潮状況の早期通知を実施。
出典:KDDI
1.世界初、飛行ロボットを活用した多深度の海水採取
広域を飛行するドローンを活用し、養殖池全体の海水の着色具合を検知し赤潮発生のリスクがある箇所を特定。採水ドローンにより赤潮発生のリスクのある個所から多深度(1m,3m,5m)の海水を採取し、それをAIで分析。
出典:KDDI
2.世界初、画像解析による有害プランクトンの識別および計数
赤潮の原因となる有害プランクトンの識別を画像解析により判別し、プランクトン数集計をAIで実施。
出典:KDDI
3.AI分析結果を漁業者に周知
AI分析の結果、赤潮発生の危険性ありと判断された場合、リアルタイムで養殖事業者へ通知。直感的に危険度を把握できるインターフェースによる通知。
今回の実証では、このIoTシステムを活用することで海水採水から赤潮の検知、漁業者への通知までの時間が約15分にまで短縮。12時間から15分。なんと約98%もの削減効果が出ています。
出典:KDDI
まとめ
これは驚きの結果ですね。12時間もかかっていたものが15分でできてしまうのは圧巻です。マグロ養殖革命といってもいいでしょう。
ちなみに赤潮が発生した場合、養殖場では生簀をプランクトンの少ない深いところに沈下させたり、生簀そのものを移動させたりという対策をとります。発見が早ければ早いほどその対策にも余裕ができるということ。
これはクロマグロに限らず様々な魚種の養殖でも有用になりそうですね。