こんにちは。年明け後に西日本ほど暖冬の傾向が出るという予報がありましたがその通りで、関東や道東方面は冷え込んでいるようですが、関西の方では体感的にそこまで強い寒さを感じるほどではない日々です。
今冬は関東・関西ともに1月~3月の気温は平年よりも高い予想になっていますので、予想よりも早めに春がやってきそうですね。
さて、本日は骨伝導を活用し、騒音下で防塵マスクや耳栓を装着したままの作業中でも円滑な会話を実現するという画期的な通話システムをご紹介。こちらは清水建設が京セラの協力で開発されたものになります。
骨伝導とは?
骨伝導のイヤホンなどは10年以上前から市場には出回っていますが、参入メーカーが少なく特に国内メーカーは殆ど参入していない状況でしたが、ここ数年でSONYやパナソニックなど参入し、再び活気づいてきている感があります。
骨伝導は知っている方も多いと思いますが一応ご説明すると、基本的に音は鼓膜の奥にある蝸牛という部分が音を脳に届けます。通常のイヤホンなどのように、耳を塞いで鼓膜の振動から音を蝸牛に伝えて聞くようなスタイルではなく、コメカミなどから骨を伝って振動させて蝸牛に届ける形になります。
出典:ゴールデンダンス株式会社
なので耳を塞ぐことなく音が聞けるようになるので、外部の音が遮断されることなくクリアな音が聞けるのがメリット。あのベートーベンが聴覚障害の中でも作曲を続けることができていたのは、この骨伝導の原理を使っていたという話があります。指揮棒を口にくわえてピアノに押し付けることで音を聞いていたそうです。
骨伝導マイク+骨伝導スピーカーの骨伝導ヘッドセットシステム
一般的にトンネル施工の現場では粉じん作業などがあり、防じんマスクの着用は必須。また、騒音のレベルにより耳栓の着用も必須となります。
しかし、こういった保護具の着用が現場でのコミュニケーションの妨げになっており、結果的に生産性の低下や最悪それが事故の要因となりかねない現状のようで、それらの課題を解決すべく清水建設の「シミズ スマート・トンネル」の技術開発の一環で開発されたものです。
骨伝導ヘッドセットは、骨伝導スピーカー、骨伝導マイク、スピーカー・マイクと音声データを有線で送受信する無線接続アダプタ、無線アダプタと音声データを送受信する超小型通信機器という構成。
出典:清水建設
骨伝導スピーカーは音声振動をコメカミから聴覚神経に伝導させ、骨伝導マイクは声帯やコメカミの振動から音声を拾うので、通話をする際に保護具を外す必要はなく、通話自体もトンネル内現場の騒音の影響を受けることもありません。
操作も簡単にできるようになっているようで、使用者がマスクを着用したままでも通信相手の名前を声にするだけで、音声認識AIが自動的に発動し、個人や複数の通話相手を自動的に選定し通話ができるようです。
実際の現場でこちらの性能実証をされた際には、防音耳栓をした状態でも極めてうるさいと定義される90~95dBの騒音下でも、明瞭な音質と音量で通話できることが実証されました。
まとめ
90~95dBといえば電車が通過する際のガード下と同じレベルの騒音ということなので、その環境下でも普通に会話が可能なのは素晴らしいですね。
これまで高騒音の現場では会話が難しかったり、そのせいでジェスチャーなどで伝えるようなことも多いと思います。最悪は保護具を外してしまうことで、それで事故が起こってしまっては元も子もありません。
こちらの製品は引き続き現場で用いられ、使用者のニーズなどを反映し2020年度の商品化を目指しているとのことです。